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2005年08月27日

●小林秀雄作品集ーモーツァルト

[読書のことなど]


小林秀雄全作品〈15〉モオツァルト" (小林 秀雄)

僕の二十歳前後の生活は皆さんにとっては信じられない事ばかりだと思います。
高校を卒業すると新宿の予備校に1回だけ行き、それ以降は、朝家をでると10時を過ぎるのをまって、新宿の三省堂でぶらぶらしていたことを思い出します。
その時、店内にかかっていた曲がたぶんモーツアルトのセレナーデでした。音楽にはあまり詳しくはないのですが、モーツァルトを聴くと今でもそのときのことを思い出します。

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2005年08月26日

●二つの見方・ベルクソン著 河野与一訳「哲学入門・変化の知覚 ー思想と動くもの1ー」

[読書のことなど]

Bergson-2どうも、自分で書いたことがあとから気になって、ちょっと考えてしまいました。

というのは、8月25日の「奈良小旅行」の中の一節の以下の文章の所です。

> 何でもそうなんですが、こういうものを見るときいつも僕は、そのものの中と一体化してみるという見方をしています。仏教美術に対しては、まったくのど素人です。でも、気持ちの中でその対象となるものの中に自分の心を入れて見る、一体化すると、何だかその時代を見ているというか、流れを感じるというか、感動します。

「一体化してみる」とは、どういうことなのか。
どうして、この様な考え方をしたかというと、以前に読んだ本の影響がかなりあるのではないかと思い出しました。そこで、家の本箱の片隅から次の本を探し出しました。

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2005年08月25日

●奈良へ小旅行

[思いつくままに]

 せっかく、大阪まで来たので、研修会最終日は奈良まで小旅行してきた。
 朝、ホテルで朝食をいただき、すぐ近鉄線で奈良に向かいました。近鉄奈良に着いたのは、朝の8時ごろでした。
 帰りの新幹線が新大阪発2時50分くらいだったので、こちらを出るのは、1時過ぎでいい。まあ、5時間くらいこの奈良にいられる計算になります。
 奈良は、高校の修学旅行以来でしたので、すごく懐かしい感じです。地理は全然覚えていないのですが、まぁ、なんとかなりました。
 目的は3つ。
 1,鹿に会うこと。
 2.興福寺の阿修羅を見ること。
 3.奈良の大仏を見ること。

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2005年08月15日

●書き出しを与える

[作文実践]

■書き出しを与える 「先生が決まった」
 始業式の後、クラスの短い時間を使って、「先生が決まった」の作文を書いてもらった。
 黒板に、次の様に書き出しを書く。

先生が決まった
          名前
 担任の先生が決まりました。
 いけち先生です。
 『今から10分あげますので、この書き出しで、作文を書いてください』
 400字の作文用紙を一枚配る。
 タイトルと名前を書いてもらう。
 『先生が、ストップウォッチで時間を計ります』
 全員、名前まで書き終えたことを確認し、『ヨーイ、ドン』
 一斉に書き始めた。
 みんな、真剣に書いている様子がうかがわれた、今までざわついていた教室が一斉にしんとなり鉛筆の音が聞こえ始めたからだ。
 前の担任の先生の指導が行き届いていると思った。
 以下、「これいいな」と思う作文を紹介する。

先生が決まった
           A男
 担任の先生が決まりました。
 いけち先生です。
 春休みの間、たんにんの先生は、U先生だと思っていました。
 でも、いけち先生は、はじめてのたんにんの先生なので、どうゆう先生がわからないので、ドキドキします。
 自分の予想が書けているのがいいです。
 また、「ドキドキ」という、くりかえし言葉がとても効果的に使われています。
 感じがとても伝わってきます。

 先生が決まった
           B男
 担任の先生が決まりました。
 いけち先生でした。
 とてもおもしろい先生だと思います。
 放送部でおんなじだったから、ちょっとだけなれています。
 4年生のたんにんの先生とやりかたがちがうから、ふあんです。
 でも、ちゃんと言うことを聞けば、だいじょうぶだと思います。
 でも、やりかたがちかうから、新しい、5年生になると、ぼくは思います。
 べんきょう、体育、その他のじゅぎょうをがんばりたいです。
 一年間、よろしくおねがいします。

 「やりかたがちかうから、新しい、5年生になると、ぼくは思います。」がとてもいいです。
 この文には、私自身、はっとさせられました。
 自分の考えがしっかりと書けています。
 みんな、今年一年、よろしくお願いします。(2002年4月「学級通信より)

●構成を教える

[作文実践]

■母の日礼拝の作文朗読
 学校で母の日礼拝が行われた。
 毎年恒例の行事である。
お母様方を迎え、礼拝をし、その後、1年生から6年生がお母様方に感謝する出し物をする。
5年生は、いつも作文朗読である。
 今回、この作文朗読のための原稿をみんなに書いてもらった。

■構成を教えて書く
 5年生の作文朗読は2名と決まっている。
 持ち時間は10分である。出入りの時間を2分として、8分。一人、4分である。
 4分の時間だと、原稿用紙3枚から4枚程度の規模の作文となる。
 5年生のこの時期に書かせる量としては多い。
 そこで、以下のように指導した。
 1.構成を教える。
 自由に書かせるというより、構成を教えることで、誰にでも書けるようにした。
 2.構成ごとに細切れにして書く。
 3.細切れにした作文をつなぐ文を考え、ひと固まりの作文にする。
 構成は、次のようである。

1)簡単なお母さんの紹介。(2〜3行)
2)お母さんのおもしろいこと、失敗談などの紹介。(1枚目)
3)お母さんのすごいところ、いいところの紹介。(2枚目)
4)お母さんに感謝するところの紹介しまとめる。(3枚目)

 おおざっぱにいって、これで3枚程度の作文が書けるようになる。
 2)から4)に書けては、その題材を、番号作文で書かせ、その中から、自分でこれがいいなと思ったことを1つ選び、そのネタで書くように指導した。

■作文例
 作文朗読に選ばれた児童の作文を紹介する。

ちょっとかわいいお母さん
 私のお母さんは、おっちょこちょいでもあるし、すごいところもあるし、もちろん、感謝することもある、とってもすてきなお母さんです。
 この前、私のお母さんは、ちょっとおっちょこちょいをした。それもいつもよくするものだ。
 デパートで、お母さんと私が買い物をしていたら、よその子が、
「お母さ〜ん!」
と言って、自分のお母さんをさがしているのに、私のお母さんは、
「な〜に?こっちよ〜!」
と言ってしまった。
 私はとっさに、
「S子は、ここにいるじゃん」と言った。
お母さんは「へ?」というように私の顔を見た。
私とお母さんは、二人で笑った。
なぜか、その時、とても気持ちがよかった。 私は「お母さんにも、こんな、かわいいところもあるんだな」と思った。
 
 でも、私のお母さんは、おっちょこちょいばかりしているわけではない。
 すごいところだって、もちろんある。
 私のお母さんの料理は最高だ。
 私の一日の夜の楽しみはもちろん夕食だ。
「ごはんよ〜!」
 その声を聞くと、私は、一目散に飛んでいく。
「今日のごはんは何かな?」
 うきうきしながらリビングへ行く。
「あ、今日は、カレーだ!」
 おいしすぎて、おかわりをしないと気がすまない。
 うちの家族は、みんなお母さんの料理が大好きである。
 お父さんなんかは、「世界一」などと言っている。
 なかでも特に大好きな料理は、
「あじの開きに、ほかほかごはんに、おみそしる」
 私はよくお母さんに、「食べすぎ!」と言われてしまう。
 
こんなくいしんぼうな私だけれど、お母さんには、とっても感謝している。
 
 私が病気の時は、いつも、私の好きな食べ物を買ってきてくれる。
「S子、何食べたい?ママ、今、買ってきてあげる」
と言って、買ってきてくれる。
「ありがとう」と私はその時思う。
 また、かぜの時は、いつもいっしょに寝てくれる。お母さんに「どうして?」と聞くと、「もし、気持ちが悪くなったら、近くにいればすぐわかるでしょ」と、言ってくれた。
 私はそんな、お母さんが大好きです。
 いつまでも、かわいくて、元気いっぱいのお母さんでいてください。

●会話文を考える ー友だちの作文を読んでー

[作文実践]

■ 友だちの作文を読む
 「母の日の作文」(構成を教えるー母の日の作文ー)を使って授業をした。
 作文の書き方は上記のリンクをたどってもらいたい。
 児童の作文を再掲する。

ちょっとかわいいお母さん
 私のお母さんは、おっちょこちょいでもあるし、すごいところもあるし、もちろん、感謝することもある、とってもすてきなお母さんです。
 この前、私のお母さんは、ちょっとおっちょこちょいをした。それもいつもよくするものだ。
 デパートで、お母さんと私が買い物をしていたら、よその子が、
「お母さ〜ん!」
と言って、自分のお母さんをさがしているのに、私のお母さんは、
「な〜に?こっちよ〜!」
と言ってしまった。
 私はとっさに、
「S子は、ここにいるじゃん」と言った。
お母さんは「へ?」というように私の顔を見た。
私とお母さんは、二人で笑った。
なぜか、その時、とても気持ちがよかった。 私は「お母さんにも、こんな、かわいいところもあるんだな」と思った。
 
でも、私のお母さんは、おっちょこちょいばかりしているわけではない。
すごいところだって、もちろんある。
私のお母さんの料理は最高だ。
私の一日の夜の楽しみはもちろん夕食だ。
「ごはんよ〜!」
その声を聞くと、私は、一目散に飛んでいく。
「今日のごはんは何かな?」
うきうきしながらリビングへ行く。
「あ、今日は、カレーだ!」
おいしすぎて、おかわりをしないと気がすまない。
うちの家族は、みんなお母さんの料理が大好きである。
お父さんなんかは、「世界一」などと言っている。
なかでも特に大好きな料理は、
「あじの開きに、ほかほかごはんに、おみそしる」
私はよくお母さんに、「食べすぎ!」と言われてしまう。
 
こんなくいしんぼうな私だけれど、お母さんには、とっても感謝している。
 
私が病気の時は、いつも、私の好きな食べ物を買ってきてくれる。
「S子、何食べたい?ママ、今、買ってきてあげる」
と言って、買ってきてくれる。
「ありがとう」と私はその時思う。
また、かぜの時は、いつもいっしょに寝てくれる。お母さんに「どうして?」と聞くと、「もし、気持ちが悪くなったら、近くにいればすぐわかるでしょ」と、言ってくれた。
私はそんな、お母さんが大好きです。
いつまでも、かわいくて、元気いっぱいのお母さんでいてください。
 ワープロで清書した作文をB4の紙に印刷し全員に配る。
 教師が一度範読する。
 読み終えると、次の指示をした。
 『この作文を読んで、「これいいな」と思ったところに赤線を引いてください』
 時間を5分とった。
 次に線を引いたところを発表してもらう。 
 子どもたちの多くは、気持ちの表現がうまく書かれているところに線を引いていた。
 たとえば、次の文である。

 ・なぜか、その時、とても気持ちがよかった。
 ・その声を聞くと、私は、一目散に飛んでいく。

 どれも、いいところに気がついたことをほめる。
 そして、次の指示を出す。
 『先生がいうところを青線を使って引きなさい』
カギカッコに全て線を引きます
 引き終えたころを見計らい、全部で15個所あることを確認させる。
 『この作文にはカギカッコがたくさん使われています。
  よく見ると、これらのカギカッコは3種類の使い方がされています.
  どんな種類の使い方があるかを考えてください』
と言い、黒板に1.2.3.と書く。
 少し、戸惑った様子であったが、1つ目の会話文はすぐに解答がでる。
 たとえば、次の文である。
 「な〜に?こっちよ〜!」  と言ってしまった。   私はとっさに、  「S子は、ここにいるじゃん」と言った。  (実際に言った会話をカギカッコでくくる。)
 この調子で2つ目もすぐに正解がでた。
 自分が心の中で思ったことである。
 私は「お母さんにも、こんな、かわいいところもあるんだな」と思った。  (自分が心の中で思ったことをカギカッコでくくる。)
 3つ目がなかなか出てこなかったが、この部分のカギカッコの使い方が違うことはすぐにわかったようである。

 「あじの開きに、ほかほかごはんに、おみそしる」  (強調表現としてカギカッコでくくる。)
 強調表現である。カギカッコを使って、その部分を強めているのである。

 以上、カギカッコの3つの使い方を整理し、この作文にはこのように、カギカッコを上手に使っていることを知らせた。カギカッコを使うことで、臨場感や、自分の気持ちなどを表現しているのである。
 もちろん、この作文を書いた子がこの表現手法を自覚的に使ってかいたわけではない。今までの作文の経験からこのような表現手法を使ったものであろう。
 しかし、この無自覚を自覚的に使うことで、作文が上手になる。なぜならば、表現手法を知ることによって、その手法を意図的に使えるようになるからである。

 作文を読むとき、「この作文いいな」と思う。そうしたら、どうしてこの作文がいいなと思ったかを考えるといい。必ず、表現の仕方に工夫があるはずである。(2002年5月20日)

●親子の会話上手が作文好きの第一歩

[作文教室, 親子のための作文教室]

 うちの子は作文が苦手で、作文を書かせても数行で終わってしまうなどと言う声が聞こえてきます。
 小学校で作文が好きな人はと聞いても、そうそう手を挙げる子は少ないのが現状です。
 このままにしておくと、子どもたちの作文嫌いがどんどん増えていってしまう事になってしまいます。文章を書いて自己表現をする喜びを何とかして子どもたちに伝えたいという思いでこの連載を始めることにしました。
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  親子の会話上手が作文好きの第一歩 
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 作文を好きな子は親と子の会話を楽しんでいる子に多いです。そして、その会話を題材にして作文をよく書いてきます。
 作文ぎらいな子の中には、よく「書くことがない」と言います。
 どこか特別な所に行っていないから書けないともいいます。
 どこかに行かないから作文が書けない、特別なことがないから作文が書けない、と思っているのです。これは、小学校で行事をするたびに作文を書かされているという弊害から、子どもたちは何かないと書かないと思っているのだと想像できます。
 でも、それはちがいます。
 日常生活の中から、作文に書く材料は山ほどあるのです。
 毎日の生活の中で、「あ、おもしろいな」と気がついたことを書けば、それはもう立派な作文になるのです。
 でも、たとえば『今日のことで、「なにかおもしろかったことあった?」』と聞いても、「何もなかった」と答えてくるでしょう。
 子どもたちは好奇心の固まりです。いつも、その瞬間、瞬間にいろいろな事に対して興味を示します。
 ただ、その事に対して自覚していないだけなのです。
 そこで、お父さん、お母さんの出番です。
 子どもが、興味を示したことに対して、そのことを引き出してあげる。これは、毎日生活を共にしているお父さんやお母さんだからこそできることです。学校の先生にはできません。
 そして、そのことを作文に書いてもいいんだということを子どもたちに気づかせるのです。
 では、どうやって引き出してあげるのでしょうか。
 それには、「親と子の会話」が大切です。会話の中から、子どもたちの気づきを親が感じ取るのです。そうやって、子どもの興味・関心を親がわかってあげます。
 だから、普段あまり会話のない家庭や、「勉強しなさい」「ご飯ですよ」「テレビばっかり見ないで」などという会話(?)の中では作文好きな子は育ちにくいのです。
 「勉強しなさい」と言う前に、「このごろ、どんな勉強をしているの」と聞きましょう。
 子どもに聞いたら、否定的な(お説教的な)会話をこらえて、子どもを受け入れるように話を聞いてあげましょう。
 「テレビばっかり見ないで」と言う前に、子どもが見ているテレビをいっしょに見ましょう。
 子どもといっしょにテレビを見て、登場人物やストーリーについて子どもに聞いてみましょう。親の方が楽しくなってしまうかもしれませんよ。でも、それでいいんです。そこから、テレビの話題で子どもと会話ができるようになるのです。

子どもを作文好きにするポイント1
 毎日、子どもとの会話を楽しもう。

(初出 メールマガジン「親と子で作文が好きになるMM」第1号 2003年8月22日 発行)

●ほめ上手になろう

[作文教室, 親子のための作文教室]

 作文上手の子の親は、子どもをよくほめることのできる人です。
 ほめることによって、親と子の信頼関係を築きあげ、ほめること を通じて、子どもの気づきを引き出す手助けになるからです。
 作文嫌いな子どもは、親に自分の書いた作文を見せると怒られる と思っています。「何書いてるのよ、はずかしいわ。」「もっと、 きれいな字、書けないの。」「短かすぎね、もっとたくさん書きなさ い」きりがないほど、子どもたちの作文にけちをつけます。
 これではだめです。どんどん作文嫌いな子どもを育ててしまいま す。
 子どもが一行でも書いたら、その一行をほめることができる親が 子どもを作文好きにさせます。
 また、子どもをほめるのが上手な人は、子どものどんな時のこと をほめてあげればいいかをよく知っています。
 たとえば、子どもが何かを発見した時にほめてあげます。
 子どもは何か新しいことを発見した時、だれかにとにかく教えて あげたいと思います。大人にとっては他愛のないことでも子ども にとっては、新しい発見とは一大事件なのです。それが、新たな気 づきの始まりとなるのです。
 子どもはその話を、生活の中で一番身近な親に聞いてもらいたい と思います。
 そして、その話を親が最後まで聞いてあげます。

 でも、子どもは話す時、「点」で話します。つまり、その全体の 状況説明は上手にできないので、思いついたことからどんどん話し てきます。
 親ははじめ子どもが何を話したいのかよくわかりません。ここで は親の忍耐が要求されます。
 ぐっと我慢して話を最後まで聞き、今度は、その話を親が整理し てあげます。
 あとは、そのことをどうほめてあげるかのほめる言葉を見つけ て、その言葉をかけてあげればいいのです。
 ここで、子どもをほめるコツを一つ紹介します。
 子どもが両手の中に何かを隠すように持ってきました。
 「ねえ、いいもん見つけたよ。」
 「何?」
 大事そうに、そっと手を広げて見せてくれました。それは蝉の抜 け殻でした。
 「なんだ、蝉の抜け殻だね」
 「・・・。」
 こんな時、ほめ上手な親はすかさずおどろきます。
 子どもにとっては一大発見なのです。あっさりと「蝉の抜け殻だ ね」と言ってはいけません。かえって知らないふりをして、「わぁ 〜、すご〜い。」とおどろきます。
 そして、「これ、なぁ〜に」「どこでみつけたの」と聞きます。
 すると子どもはじまんげに話を始めます。
 そして、親は話を聞いてあげた後、話を整理してあげます。
 最後に「よかったね。いいものを見つけたね。見せてくれてあり がとう。」とほめて上げると、子どもは満足します。
 こういう体験が、また何かを見つけた時に教えてあげようとする 気を起こさせるのです。
 「おどろく。話を聞く。ほめる。」これが子どもをほめる時のコ ツです。

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    ┃ 子どもを作文好きにするポイント2   ┃
    ┃   子どもがする話におどろこう。   ┃
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(初出 メールマガジン「親と子で作文が好きになるMM」第2号 2003年8月29日 発行)

●まねをしよう

[作文教室, 親子のための作文教室]

 何かを学ぶというのは、それをまねすることから始まります。
 スポーツの世界ではまねすることが当たり前になっています。
 例えば、柔道です。柔道には型があります。それが全ての基本です。
 背負い投げを覚えるには、まずその背負い投げの型を何千回、何万回繰り返し、体で覚えるのです。
 そうすると、試合の時、自然に体が動き、背負い投げができるようになるのです。
 学習も同じです。小学校で習うものは、これからの勉強を続けていくための型を学んでいるようなものです。
 だから、同じことをなんども繰り返してまねしながら、体で覚えていくのです。

 子どもの会話です。 
「先生、○○ちゃんが、ぼくがかいた絵をまねした。」
と不平を訴えてくる子がいます。教室でよくある場面です。

 こんな時、私は、こう子どもに答えてあげます。
「△▽くんがかいた絵がとってもじょうずだからだよ。へんな絵なんてまねしないでしょ。だから、もっともっと、○○ちゃんにまねをしてもらおうね。△▽くんは、絵の先生だね。」
「○○ちゃんは、△▽くんにありがとうをしておこうね。」
 
 でも、まねはいけないと思っている親も少なからずいます。
 個性がない、オリジナリティーが育たないなどと言うのです。でも、その心配はいりません。
 そう見えるのは、ごく初めの時だけです。
 しかし、その時こそ、子どもが一番学んでいる時です。
 しばらくすると、その絵の描き方が自分のものとなり、自分の中での工夫がみられるようになります。  
 だから、絵のうまい子のとなりにすわれたらしめたものです。はじめは、まったく同じ絵をかいて、つまらないと思われがちですが、しばらくすると、どんどん上手になって自分の世界で描くようになります。 
 さて、作文も同じです。上手な作文を読めば、作文はうまくなります。何度も読んでいると、その言い回しや、言葉づかいをまねするようになるからです。そして、知らずしらずの間に作文が上手に なってくるのです。
   読書好きな子の中には、作文が上手な子が多いと言われます。
 それはやはり、本の中の文章を体の中に取り込み、自然に自分の文章に取り入れているからでしょう。
 
 この作業をちょっと、意図的に行ってみます。
「くじらぐも」なかがわりえこ作(こくご 1年下 光村図書)からです。
『四じかんめのことです。
 一ねん二くみの子どもたちがたいそうをしていると、空に、大き なくじらぐもがあらわれました。』
 この文章をまねして作文を書いてみます。
 書き出しの言葉を数字だけ変えて、そのまま、まねします。
『○じかんめのことです。』
と書き出し、この文に続けて、作文していきます。これだけでも、 今まで自分が書いていた作文とはひと味違った作文に変わっていく はずです。

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    ┃  子どもを作文好きにするポイント3  ┃
    ┃   まねしたことをほめてあげよう。  ┃
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●俳句作文

[作文実践]

■指導法
 俳句作文とは、俳句を読んで、その作者になったつもりで、その俳句を作った時を想像して書く作文です。

 次のように授業をしました。
 『今日は俳句作文をします。』
 と告げ、教科書(学校図書)から選んだ以下の三つの句を黒板に書きます。

 ・夕立があがりまた街動き出す
 ・ひがん花だけがもえてる長い雨
 ・残されてひとりの教室きくにおう

 『この三つの句の中から一句選びます』
 その句を作った作者になったつもりになって、その俳句が作られた時の様子を想像して作文を書きます。
 質問が一つ出ました。
「自分でお話を作っていいんですか」
『はい、そうです。俳句から想像して、自分でお話をつくってください』
 作文用紙を一枚(四百字)配り、書き始めます。

■子どもの作文
 「夕立があがりまた街動き出す」
 今日、街へ散歩に行くと、空からこつぶの夕立が降ってきました。
 かさを持っていない私は、街のレストランの前で雨宿りをしました。
 「どうせ、夕立だからすぐやむな」
と思っていました。
 ふと、街をみると、雨にぬれて急いで帰っていく人たちや、店に入って雨宿りをする人たちの姿が多く見られます。
 しばらくたつと、街は、何だかどことなくさみしいふんい気をただよわせています。いつもにぎやかな街も、今は静かです。
 数十分後、夕立があがりました。
 太陽も顔を出してきました。
 今まで雨宿りをしていた人たちも店から出てきます。
 また、街に活気がもどってきました。(六年女子)

 「ひがん花だけがもえてる長い雨」
 あー、今日は雨。天気予報によると一日中雨らしい。
「外で遊びたかったのに」 と思いつつ、部屋でテレビを見ながら寝転がっていた。
 と、そこに、声が聞こえてきた。
「おつかいに行って来て」 お母さんの声だ。
 いやいやながらも、おつかいに出かけた。
 途中、スーパーに向かう前にお寺がある。そこに、雨にぬれたひがん花が咲いているのに気がついた。
 こんなに私は雨でどんよりした気持ちなのに、そのひがん花だけは、まるで燃えているように赤くきれいに咲いている。
 おつかいから帰ってきた私は、何だか今までのどんよりした気持ちを忘れてしまったように、宿題に取りかかるのであった。(六年女子)

 「残されてひとりの教室きくにおう」
 今は放課後。私は花係で、教室の花一つひとつに水をやらなくてはいけない。今は、昨日私と同じ花係の子が持ってきてくれた、きくの花がいっぱいある。
 「じゃあねー」
 「ごめ〜ん、もう帰るね」 友達が次々と教室から出ていく。ついに、私とそうじが終わった男の子しかいなくなってしまった。
 すると、その男の子もそそくさと帰ってしまった。もう、教室にいるのは、私ときくの花だけ。取り残された気になり、さびしくて泣きそうになった。すると、いつもはあまりにおいのしないきくが、ふんわりといい香りをさせている。まるで、私をなぐさめるようににおいだしたそのきくは、なぜだかすごくやさしい気分に私をさせてくれるのだ。
 そして、仕事を終えた私もその教室を出た。だれもいない教室とやさしいきくのにおいを残して。(六年女子)

■参考文献
 青木幹勇著「俳句を読む、俳句を作る」(太郎次郎社1992年)
 「俳句を散文にしてみる」の小見出しがついています。この実践の概略を引用すると、「(俳句を散文にしてみるとは)読み手の子どもが仮に作者になって、句の理解を散文に書かせてみる形なのです。教師がくどくどと句の説明をしたり、小刻みな発問をして、子どもたちを引きまわすことをしないで、このような短文を書いて参考にさせます。子どもたちは、これを手引きにして、各自に教材文の一句か二句を選び、短い散文に書きかえるのです。」と書いてあります。
 今回の授業はこれをもとに授業を作りました。

●共感して読む

[作文教室, 親子のための作文教室]

 子どもは絵をかくのが好きです。
 男の子は怪獣の絵、女の子は友だちの女の子の絵を、どんどんかいていきます。そこに、紙とえんぴつとがあれば、すぐにお絵かき が始まります。
 でも作文を書くとなるとなかなか手を出しません。
 絵と同じように、作文も子ども達が進んで書いてくれるようにするにはどうすればいいのでしょうか。

 子どもが絵をかいてお母さんに見せてくれます。どんなに形がおかしくても、きっとお母さんはほめてくれます。決して、「ここの線のかき方がおかしいわよ」とか、「もっと、色を考えてかきなさい」などとは言いません。そんなことを言うと絵が嫌いになることを知っていますし、なによりその絵がとってもステキだからでしょう。

 では、子どもが書いた作文はどうでしょう。
 熱心なお母さんほど、全部を読まないうちから、もう「この漢字はもう習っているでしょ」「もっときれいな字は書けないの」と、言い出したらきりがありません。

 なぜ、絵だとほめて、作文だといろいろと口を出してしまうのでしょうか。
 もしかしたら、それは、大人たちが子ども達のステキな文章を読み取ることができないからなのかも知れません。

 作文を書くのは絵をかくのと似ています。
 絵をかく時、どこに何をかくかを決めます。
 これは、作文の構成と同じです。
 その場所にどんな色を着けるかを考えます。
 これは文章を書く時にどんな文章表現にするかを考えるのに似ています。

 さきほどのように、絵をかいた時、その絵を作文と同じようにお母さんに言われたら、きっとその子は絵をかかなくなってしまうでしょう。
 でも、作文を絵と同じようにステキなところを見つけて上げてほめたらどうでしょうか。

 子どもの作文を読むコツは共感してあげることです。
 ちょっと事実が違っていたり、漢字が違っていたりしても、ここではしばし目をつぶります。読んだことを「へー、そうなんだ」「それはよかったね」などと、具体的に文章を指しながらほめてあげます。こうすることによって、子どもは「あ、作文を書いてよ
かったな」と思うようになるのです。

 親が作文に書かれている内容と同じ体験をしているのであれば、その作文を使って、会話に花を咲かせることができます。そうすると、今度は、子どもの方から、書き足りないところを書き足すことも起きてくるかも知れません。

 もし、漢字や字の間違いなどを指摘するのなら、十分共感し終えた後、「ここはこうだね」と軽く訂正をしてあげるだけでいいです。でも、本当はそのまま黙っていた方がいいかもしれません。
 なぜなら、ここでは、子どもが「作文を書いてよかったな」と思うことが大切だからです。
 
  ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★
  ┃  子どもを作文好きにするポイント4       ┃
  ┃   きれいに書きなさいと言うのをひかえよう。  ┃
  ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

●日記を書こう

[作文教室, 親子のための作文教室]

 学校ではよく日記を書かせる宿題が出ます。
 作文を書くのが好きな子は毎日熱心に書いて先生に出してきます。
 でも、書くのがまだまだの子は始めのうちはそこそこ宿題という力で書いてきますが、やがて行数も減り、最後は書かずに、日記も先生に出さずじまいになってきます。
 なんとかして、こういう子をなくし、楽しく日記を書く方法はないのでしょうか。

 日記を書くのに抵抗がある子は、たいていの場合、何を書けばいいのか分からない子です。自分の生活の中で何か特別なことがないと書いてはいけないと思っているのです。
 
 こんな話があります。
 学校で、毎週一回日記を書くという宿題がでました。
 先生も毎日全員の日記を見るのは大変ですので、週一回の金曜日を提出日にしました。
 すると、ある女の子は、日記の提出日の前の日、必ずお家のお手伝いを始めたのです。そして、そのお手伝いのことをいつも日記に書き記したのです。
 
 日記を通してお手伝いをすることを始めたのですから、ほめてあげてもいいのかもしれません。
 でも、よくよく考えてみると、どうもおかしな話です。
 この女の子は、何か特別なことがないと日記を書くことができないのです。

 そうではなくて、日常の生活の中から、たわいのないことでも書く材料を見つける力が必要なのだと思います。

 よく、書く値打ちのあるものを書けと言われます。
 でも、今の子どもたちの生活の中で、そんなに多くの「書く値打ち」のある題材はありません。
 
 だれでも持っている日記を書く題材を紹介します。
 学校の授業の日記です。
 日記を書く時に、何を書いていいのかわからなかったら、この学校の授業のことを書いてみましょう。
 これなら、どんな子でも書けます。


 まずは、親と子が会話をすることが大切です。 
 『今日は、どんな勉強したの?』
 「算数と国語と音楽…。」
 『算数では今何を勉強しているのかな?』
 「足し算かなぁ」
 『じぁ、
 「今日の算数では、たし算のべんきょうをしました」
 と書こうね』
 『算数の教科書とノートを見せて』
     ・
     ・
     ・
と親子で会話をします。
 
 親は、子どもに教わる、という態度で話を聞きましょう。授業を受けたのは子どもですから、子どもにその授業を教わるのです。
 当然、話しているとつじつまが合わなくなる時もあるでしょう。
 そんな時は、深入りせず、とにかく、聞き役に徹してください。
 
 ただ、「授業のことを書きなさい」と言ってもすぐに書けるものではありません。このように、親と子の会話を通して、何を書けばいいかの手ほどきをしてあげます。


 毎日、授業日記を続けます。
 そうすると、それを読む先生は、自分で行った授業のことが書かれているのですから、その子がどれくらい授業を理解しているかがよく分かるようになります。すると、日記で授業の説明もしてくれるでしょう。先生にしても、赤ペンを入れやすくなります。
 一方、親にもいいことがたくさんあります。まず、学校でどういう授業をしているかが分かります。また、子どもと会話をしながら、どの程度子どもが授業を理解しているかも分かります。
 もちろん、子どもは子どもで書く力がつくと同時に、その日の授業の復習にもなるのです。
 
 授業の日記は、あくまでも一例ですが、子どもたちには、何を書いてもかまわないということをまず、教えてあげたいです。 
  
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  ┃  子どもを作文好きにするポイント5       ┃
  ┃   子どもと授業の話をしてみよう。       ┃
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●俳句であそぼう

[作文実践]

【指導のねらい】
 俳句の一部を伏せ字にしたクイズ形式のゲームである。次の三つのねらいがある。
 (1) クイズの答えを考えながら、遊び感覚で俳句に慣れ親しむ。
 (2) 俳句の言葉を考えながら、創作者の立場を体験する。
 (3) みんなでいろいろな意見を出しながら、俳句を鑑賞し合う。

【ゲームのやり方】
 (1) 子どもの興味に合わせた俳句を人数分選び、一部を伏せ字にする。それらを一枚ずつカードに書く。
 (2) 一人一枚カードを配り、それぞれ伏せ字の部分を考える。
 (3) 考えた言葉を一人ずつ発表し、聞いている子たちは伏せ字の部分をメモする。そのとき、自分の考えも付け加える。
 (4) 考えが分かれたものについて、全体で話し合う。
 (5) すべての俳句の伏せ字について最終的な自分の答えを選ぶ。
 (6) 最後に正しい句を発表し、正解の数を競う。

■【授業のながれ】
1 五七五クイズをしよう(5分)
 教師は以下のカードを黒板に貼り、○に入る文字を考える。

 例  ○○○○の ラッパの中から 春が来る 

2 クイズの答えを考えよう(15分)
 教師は例題と同じようなカードを二人に一枚ずつ配る。さらに、解答用紙も配布し、3分間で答えを書かせる。時間になったところで二人で発表する。発表者には、以下の三つを注意する。
・カードを全員によく見せる。
・五七五のすべてを2回繰り返して読む。(一人)
・なぜその言葉にしたのか簡単な理由を言う。(一人)
 また、聞いている子たちは「友達の答え」と、それを聞いて思いついた「自分の答え」を解答用紙に書く。
3 クイズの答えを検討しよう(10分)
 黒板に全員分のカードが貼られ、子どもたちの発表した答えが書き添えられたところで、教師が問う。

 この中で「これはおかしい」と思うのはどれですか?

4 ゲームの勝敗を決定しよう(10分)
 残り10分になったところで、教師は話し合いを打ち切る。

 今までの意見を参考に、最終的な自分の答えを選びましょう。

 教師は俳句を伏せ字のままで次々に読み上げる。その間に、子どもたちは解答用紙のメモを見ながら、一つだけ「最後の答え」を選ぶ。全部の答えが書き終わったのを確認し、正解発表をする。


以下は、俳句と答えである。

(1) やきたての ○○○○みたいな 春の風(小4)
   (正解:クッキー)
(2) ささぶねに のせてみたいな ○○○○を(小1)
   (正解:ありさん)
(3) かしわもち 弟三つ 姉○○○(小5)
   (正解:一つ)
(4) 黒板に ○○○○いっぱい 終業式(小5)
   (正解:らくがき)
(5) ○○○○○○ たしかに母の はくしゅ聞く(小4)
   (正解:学芸会)
(6) ゆきだるま ○○○をつけて おともだち(小1)
   (正解:名まえ)
(7) どこみても ディズニーランド ○○の色(小3)
   (正解:春)
(8) のき先の ○○○バンドが ドレミファソ(小4)
   (正解:つらら)
(9) ○○○○が 「きをつけ」をして のびていく(小1)
   (正解:かいわれ)
(10) おりがみさん いま○○○○に してあげる(小2)
   (正解:ペンギン)
(11) せんこう花火 ○○○みたいに おちました(小3)
   (正解:なみだ)
(12) 朝つゆで ○○○が顔を あらってる(小2)
   (正解:トマト)
(13) 早口に なるよ○○○を 食べるとき(小4)
   (正解:すいか)
(14) ○○○○○ パクッとたべる 春の味(小4)
   (正解:さくらもち)
(15) 男の子 すみで小さく ○○○○○(小5)
   (正解:ひなまつり)
(16) 節分の おにはやさしい ○○○○○(小3)
   (正解:お父さん)
(17) いつもより みんなきれいだ ○○○○○(小5)
   (正解:七五三)
(18) お年玉 ふくろをあけて ○○○○○(小2)
   (正解:ありがとう)
(19) ○○○きた 先生のかお はずかしそう(小2)
   (正解:水ぎ)
(20) さんかん日 うしろにかあさん いい○○○(小1)
   (正解:におい)
(21) なつやすみ たいくつそうな ○○○○○(小3)
   (正解:ランドセル)

■伝言板
 この授業は佐内信之氏の「俳句のアニマシオン」学習ゲーム研究会HPの追試である。参照していただきたい。
 ただし、授業にあたっては、俳句の精選をし、分かりにくいものは省いた。
 追試した結果、原実践と同様な流れとなり、安定したゲームであることが分かった。

●鉛筆対談で「物当てゲーム」

[作文実践]

鉛筆対談で「物当てゲーム」(1999年4年生の実践)

『物当てゲームをします。二人一組となり、相手が考えた物の名前を当てるというゲームです』
 クラスの中に、「やったことある」という子が大勢いた。

 今日は、鉛筆対談でこのゲームをします。
 クラス中、「え〜!」の声が響く。中に、「おもしろそ〜」という声もある。
 『隣同士が組になります』と言って、四百字詰め作文用紙を一枚と五センチメートル四方の紙片を全員に配った。
 次のようにゲームの説明をする。
『小さい紙に自分が考えた回答を書きます。相手に分からないように書きます。回答には相手が絶対知っているものを書くのがポイントです。
 作文用紙には一行目に「物当てえんぴつ対談」と題名を書きます。二行目には自分の名前と相手の名前を書きます』
 全員書き終わるのを確認し、次の説明をした。

 ゲームのやり方は鉛筆対談と同じです。互いに質問を書いたら同時に作文用紙を交換します。そして、その質問に答えてあげてください。先に相手の答えが分かった方が勝ちです。

 説明の後、質問を聞く。
「相手の回答を当てたら終わりにしていいですか」の質問には、ちょっと考えて、『ゲームはお互いが、回答を当てた時に終わりにしてください』と答えた。

●物当てゲーム開始
 『では、始めます』といってストップウォッチを押すと、全員一気に書き始めた。二、三回質問が続いたところで、「わかった〜」という声が上がる。みんな「すごいなぁ」と感心している。
 途中、「むずかしいなぁ」と首を傾げる子どもがいたので、『なかなか分からなかったらヒントをもらっちゃおう』とアドバイスをした。
 当たる度に歓声が上がる。
 後半、双方が終わってしまったチームが出てきたので、第2回戦をするように指示をした。
 十分経過後、『時間です。鉛筆を置きます』と声をかける。両方分からなかったチームはなく、片方分からなかったチームが三組あった。
 以下、子どもの作品を紹介する。

 物当てえんぴつ対談
            M・W Y・M
 W・それは重いですか。
 Y・あまり重くないと思うよ。
 W・大きいものですか。小さいものですか。
 Y・大きいものだよ。
 W・落とすと割れますか。
 Y・多分こわれないと思うよ。
 W・それは、どの季節とかにやったりしますか。
 Y・春と夏の間ぐらいだね。
 W・なんかヒントをください。
 Y・男の子の節句といったら。
 W・それはかたいですか。
 Y・ふにゃふにゃしていて泳いでいます。
 W・わかった。こいのぼりだ。
 Y・あたり。おめでとう。


 物当てゲームをしながら会話を楽しんでいる様子がよく出ているいい作品である。

●子どもの授業感想
  授業感想をとると、5(とてもおもしろい)が22人、4(おもしろい)18人と好評の授業であった。感想の中で、「前にも同じゲームをしたことがあるけれど、えんぴつ対談でやる方がおもしろい」と書いてくれた子どももいた。

●まんがでえんぴつ対談

[作文実践]

●授業のへそ
 子どもたちはマンガが大好きである。この授業では、その大好きなまんがを鉛筆対談を通して、文章を書き慣れることを促すことを目的とした。(4年生)

●授業のながれ
 帰りの会の時、次のように連絡を言う。
『明日授業でまんがを使いますから、お家から一冊、自分が好きなまんがを一冊持ってきてください』
 こう言っただけで子どもたちは大騒ぎである。「どんなまんがでもいいんですか」との質問に、『あまり荷物にならないように、コミックに限りましょう』と答えた。
 次の日の国語の時間である。
 今日はまんがをみんなで読んでもらいます。これから十分間みんなが持ってきたまんがを読みます。
『となり同士で一冊のまんがを読みます。二冊あるグループはどちら読むまんがを決めてください』
『では、十分間読んでください』
 教室はシーンと静まり返る。みんな一言も口を聞かずに真剣に読んでいる。
 時々、笑い声が聞こえてくる。
 教師が作文用紙の用意をしているのを見ていた女の子が、「感想文を書くのかな」といやそうな声を出していた。
『十分たちました。読むのをやめてください』

 これから、みんなが読んだまんがについて「鉛筆対談」をしてもらいます。
 鉛筆対談は、以前にもやったことがあるが、一応やり方を確認をした。

 鉛筆でするおしゃべりです。

   き 「           」

   い 「           」

  と書いていきます。

  はじめの人は「このマンガおもしろいね」ではじめます。

 鉛筆対談と聞いて、子どもたちはまた喜んだ。「感想文」と言った子もうれしそうな表情をしている。
 二人に一枚四百字詰めの作文用紙を配る。
 題名を「まんがで鉛筆対談」とし、二行目にお互いの名前を書かせた。三行目から対談の始まりを書くことを説明した。
 『では、これから十分取りますので、鉛筆対談をはじめてください』
 教室はまた静まり返る。鉛筆の音だけが聞こえてくる。
 五分がたち、二枚目を取りに来るグループが出始めてきた。
 十分が経とうとしたとき、どのグループも終っていなかったので、『あと三分延長します。まとめてください』と指示をした。
 『では、時間です。やめてください』
 『残りの時間で発表会をします』
 全員にしてもらいたかったが時間が足りないので三組の発表になった。
 手を挙げたグループを指名し、前に出てもらう。教師はその子たち後ろに立ち、発表をしてもらった。
 次の対談はその中の一組のものである。

 「ちびまる子ちゃん」私が好きな歌 集英社刊
                    (さ)さや (ま)まな
  ま ねぇ、このまんがおもしろいね。
  さ うんうん。でも、一番最初におもしろいのって、表紙かなぁ。
  ま そう?私は表紙でかったりするけどあんがいなかみの方がおもしろい場合
    もあるよ。
  さ まるちゃんってしぶいでしょ。だから、しぶいお茶すきなのかなぁ〜。
    私は、ち〜としぶめのお茶がすきだな。
  ま 私、まるちゃんはいっけんしぶいけど陽気な方だと思う。お茶はいつもい
    れてるけど、私はうすい方がすきだな。
  さ でも、うすすぎても、ちょっと・・・。
    私、思ったんだけど、まるちゃんが好きな歌のかえ歌って、さくらもも子
    さんが作った曲なのかな〜。
  ま 本当にあるじゃん。だって、自分で作るひまがあるならマンガの原こう早
    く終わらせたいと思うだろうし、げんにあとがきってゆ〜か、そういう所
    で”もうダメ”って言ってんじゃん。
    考えてんならやっぱ絵だよ、絵。
  さ 話かわるけど、私、さっき見たんだけど、はまじたちのバンドって売れそ
    うもないような感じしない。だったら、大野くんたちのバンドの方がいい
    かもってか!
  ま そう?なんか売れないバンドっていうより私はバンドしながらお笑いやっ
    てスターになるってかんじだけどなぁ。
  さ でもさ〜、まるちゃんマンガっておもしろいのと、ち〜とした感動が入っ
    てるからいいと思うな。
  ま そうだね。サヤ、さくらもも子さんあてにそのままファンレター書け
    ば・・・?
  さ じゃぁ、いっしょに書いてよネ〜!!
  ま うん、じゃ、そうしよう。
 とりとめのない会話の中にもお互いが自分の考えを述べているえんぴつ対談になっている。
 お茶のところではみんなからの笑いがたえなかった。四年生でお茶の渋さを話題にしているのがおもしろい。
 最後はお互いにファンレターを書くことで、うまくまとめているのがとてもいい。
 授業の終わりに授業感想を書いてもらった。五段階評価で全員が五を付けた。
 主な理由は、
・まんがについて語り合えたのが良かった。
・鉛筆対談がおもしろかった。
・授業中にまんがが読めるなってサイコー。
などがあげられた。

●伝言板
 鉛筆対談の実践は「よい文の書き方」佐藤茂・柳内達雄著(昭和二十七年・牧書店刊)に読書感想の実践が掲載されている。本を読みその感想を鉛筆対談で行うというものである。今回は、まんがを使って鉛筆対談をした。

2005年08月14日

●算数文章題作文

[作文実践]

 算数文章題作文とは、ぼくのネーミングである。
 算数の文章題を解くときに、単に式、答えを書くのではなく、文章と図式を用いて解答するというものだ。
 まぁ、問題集における、問題の解答の解説を書くと考えてもいい。

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2005年08月13日

●授業づくりネットワーク夏2005 in 福島

[授業づくりネットワーク]

 8月11日〜12日まで、授業づくりネットワーク夏2005 in 福島に行ってきました。ネットワーク夏の集会には、ここ二年ほどご無沙汰です。
 今回は、現地大会実行委員長が、ここのblogによくコメントをつけてくれるあべたかさんです。あべたかさんとは、ここのとことお会いしていなかったので、今回の大会でお会いできることも楽しみの一つでした。

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