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2006年04月02日

●「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(1)

[書けない子をなくす「作文指導10のコツ」を読む]

■■■新連載を始めるにあたって■■■

 前回まで、「実践!授業感想文」を3回連載で書いてきた。今回からは、上條晴夫氏の著作を中心に、そこから読みとれる作文指導を考えていくことにする。
 「実践!授業感想文」の連載第1回目の冒頭に以下のように私は書いた。

 私は、上條晴夫氏の「見たこと作文」は作文教育の金字塔を建てたと考えている。「見たこと作文」とそれにまつわる指導技術は我々作文教育に携わる教師全員が追試を行う価値がある。

 三回の連載で「授業感想文」の概要を考察してきた。今回は、上條氏の著作を中心に上條氏の作文指導を追試しつつ、上條氏の作文指導をさらに考察して行く。


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●「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(2)

[書けない子をなくす「作文指導10のコツ」を読む]

■■■作文指導は「指示」が命だ!「1.書き出しを指示する」■■■
■はじめに
 前回はこの本のまえがき、目次より上條氏の作文に対する考え方を簡単に紹介し考察した。
 今回より、この本の10のコツを一つずつ紹介し、考察しながら、そのコツを使った私の実践を紹介することにする。

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●「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(3)

[書けない子をなくす「作文指導10のコツ」を読む]

■■■作文指導は「指示」が命だ!「2.ハテナの文の指示をする」■■■

 ハテナの指示は、書き出しを与える指導の変形である(p17)のように、書き出しを疑問文にして子どもたちに書かせる作文である。
 例えば、「〜とは何か」という書き出しを与え、それに続く作文を書くわけである。
 「書けない子をなくす作文指導」では「〜とは何か」の「〜」には上條氏は「クランボンとは何か」(p18)、「べんきょうすると頭がよくなるか」(p19)といった書き出しを与える実践を紹介している。

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●「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(4)

[書けない子をなくす「作文指導10のコツ」を読む]

■■■作文指導は「指示」が命だ!「3.規模の指示をする」■■■

 規模の指示とは、端的に言って、書かせる文章の量を指示することである。
 例えば、次の通りである。

 100字で書きなさい。  200字で書きなさい。  作文用紙1枚で書きなさい。

 この規模の指示は当たり前のことかもしれない。しかし、意外とされていない指示である。
 現に、この「規模の指示」の言葉は上條氏の造語である。
 なぜ、この「規模の指示」が必要なのか。以前上條氏は以下のように私に語ってくれた。
 『体育で、校庭を走る時、教師は「3周走りなさい」とか、「今日は、10周走ります」などと、必ず何周走るかの指示をする。ただ「走れ」では、子どもたちは走れない。3周には3周の走り方があるし、10周には10周の走り方がある。作文も同じである。作文用紙1枚の書き方と200字の書き方では書き方が違う(語録)』
 つまり子どもたちはこの指示によって、これからどの程度の量の文章を書くかが分かるので安心して書くことができるのである。
 作文を書く時にこの「規模の指示」をすることで明らかに子どもたちの書きぶりが違ってくる。書くことが苦手なクラスにはこの「規模の指示」をすると効果的である。

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●「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(5)

[書けない子をなくす「作文指導10のコツ」を読む]

■■■作文指導は「指示」が命だ!「3.規模の指示をする」(2) ■■■
 作文を子どもたちに書かせる時、子どもの実態に即した文章量を前もって指示をする。しかし、文種によっては子どもの実態に即さない場合もある。例えばコンクールに提出するための作文である。
 上條氏も次のように指摘する。

『(子どもが作文ぎらいなのは)教師が、子どもの状態を把握せずにある長さ(規模)を要求してしまうからである。その典型的な例が、夏休みの読書感想文だろう(p32)』


 夏休みの読書感想文が子どもたちに負担になっているらしい。そこで今回は「規模の指示」を使って、この負担を軽くする指導を考えてみた。

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●「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(最終回)

[書けない子をなくす「作文指導10のコツ」を読む]

■文題を指示する
 文題とは作文の題であると言っていいだろう。文題を自由に決めさせて書くという書き方も作文教育の中にはあるが、入門期の作文指導では、文題を指定して書かせることが効果的である。上條氏は 『子どもの考えを引き出すような、子どもたちが思わず書いてみたくなるような、文題を工夫する必要がある(p46)』 と述べている。

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