●【実践・授業感想文】
------上條晴夫氏の授業感想文を追試する------
【新連載を始めるにあたって】
私は、上條晴夫氏の「見たこと作文」は作文教育の金字塔を建てたと考えている。「見たこと作文」とそれにまつわる指導技術は我々作文教育に携わる教師全員が追試を行う価値がある。
しかし、上條氏の実践でもう一つ落としてはならないものがある。それは「授業感想文」の実践である。授業感想文とは簡単に言って、授業のおしまいの五分間に書かせる「授業の感想文」である。
佐藤民男氏は上條氏の授業を見に行った時にこの「授業感想文」を書いているクラスを観察して、次のように述べている。
『子どもたち二十四人が一斉にえんぴつを走らせている。一斉にである。こんな光景は見たことがない。一人もボサーとしている人がいないのだ。ただの一人もだ・・・。
結局、大学ノート一ページ分ぐらいの量をどの子も五分で書いた。「書けない子をなくす 作文指導の10のコツ(p8〜p9)」』
私もこの通りの授業風景を見たら驚くだろう。しかし、上條氏は以下のように述べる。
『(佐藤氏の記録を見て私は)少し慌てた記憶がある。(中略)どのクラスにもある、当たり前のことだと思っていたのである。』
そして、このように書き慣れた子どもたちを育てた一つの方法が「授業感想文」であると述べるのである。
これほど子どもたちに書く力を育てることのできる方法とはどのようなものか。その「授業感想文」の指導法を上條晴夫氏の著作を通じて整理していくのが今回の新連載を始める目的である。