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2006年08月28日

●じゅぎょう日記(学級通信から)

[国語授業実践]

 国語の授業で自学の日記の書き方の一つを教えました。
 「じゅぎょう日記」です。
 これは、その日にあった授業の中から私が一つ科目をいい、その時間に学習したことをまとめるという日記です。
 書き方をかんたんに教えましたが、教えたからといってそうそう書けるものではありません。やっぱり「いいものをまねしながら」覚えていくのが一番いいです。
 「みんなの広場」では、みんなの自学からいろいろなものを選び、紹介していこうと思います。
 この「みんなの広場」はお家の人が読むのはもちろんですが、みんなにもじっくりと読んでもらいたいと思っています。なので、なるべくみんなにも読めるような文章で書いていきますので、よろしくお願いいたします。

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2006年05月04日

●国語辞典作文(2)

[国語授業実践]

 先の授業で行った国語辞典作文を、毎日の自学に出すことにした。
 自学ノートは七mm方眼で、一ページあたり500文字程度の文字数が書ける。レイアウトをすると、だいたい400文字程度の作文が書ける量である。

 今日から、毎日自学ノートで、「国語辞典作文」を書きます。

 『書き方は、授業でやったやり方と同じです』
と言い、毎日の課題とした。
 翌日、クラスに行くと、登校してきた子どもたちの自学ノートが教卓の上に積まれている。
 早速、ノートを見ながら丸をつける。
 自学ノートの見方は以下のようにする。
 1・課題の作文が書いてあれば、花丸をつける。
 2・いい書き方や発想が書いてあれば、赤線を引き、文に丸をつける。
 3・必要に応じて簡単にコメントをつける(あまりしない)。
 4・その日に読み聞かせしたいものを二、三冊選ぶ。

 こうすることで、朝の時点で8割方の自学ノートを読むことができる。
 I子の作文を紹介する。
  人形(6月24日)
『にんぎょう【人形】人のすがたをまねて作ったもの。おもちゃやかざりにしたりえんげきで使ったりするもの。(英語 doll)』(くもんの学習国語辞典)
 人形って人のすがたをまねて作ったものだったのか。
 自分は、人形といったらくまのとかうさぎのとかがうかんでくる。
 私は人形ということばでこんなことを思い出した。
 それは、私がかぜの時、おばあちゃんが、
「かわいい人形でしょ」
と言って、人間の形をした目のあくのをくれた。
 その時、私は、
「人形? かわい「?」
と思った。それは私が思っていた人形とはるかにちがうものだった。
 私が思っていたのは、くま・うさぎ・ねこと、そのような動物のことだ。
 でも、考えてみれば、人形と書くのだから、もちろん人の形というのかなと思った。
 では、くまの人形、うさぎの人形、ねこの人形は人でないかぎり、人形とは言わないのであろうか?

 自分の身近な言葉を使って書いている。自分の体験を例に「人形」の言葉の意味を考えているのがいい。そこから、疑問を見つけているのがとてもいい。
 読み聞かせの時、「他の国語辞典でも調べてみよう」と伝えた。
 次の日である。
 同じ、I子の作文である。
  人形(6月25日)
 今回はまた人形という言葉をちがう国語辞典で調べてみた。
『にんぎょう【人形】(名)人の形ににせて作ったおもちゃ』(角川国語辞典)
 やはり、人の形をしていないと「人形」とは言わないらしい。
 だとしたら、おきもののくまの人形があったとしたら、
 「ガラスで作られたくまの形をしたもの」
ということになる。
 でも、私たちはふつうに、
「くまの人形だ!」
とか言うし、お店にも「くまの人形」と書いてある。
 でも、くまはいちおう2本ずつ手と足があるから、人の形の部分は入っていると思う。
 それでは、鳥や魚などでは人形とは言わない、ということになる。

 疑問が深まっていく様子が目に見えてくる。国語辞典の定義から自分の考えを発展させているのがよく分かる。「あきらめずにがんばれ」とはげました。
 三日目である。
 はずかしそうに自学ノートを出しに来たI子である。
  人形(6月26日)
『にんぎょう【人形】土・木・紙・布・プラスチックなどで、人や動物などの形ににせて作ったもの』(三省堂例解新国語辞典)
 私の疑問がやっととけた。
 でも、なぜ、書いてあるのと、書いてないものがあるのだろう?
 私はやはり
「人形」
と書くのだから、はじめは人の形をしたものがそうだったんじゃないかと思う。
 でも、今はふつうに、
「あ、くまの人形だ〜」
とか使っている。
 だから、
 昔・・・人形とは人の形をまねして作ったもの。
 今・・・人や動物をまねて作ったもの。
と言うようになったのではないかと思う。

 自分の疑問が解ける。三冊目の国語辞典である。ここでも、自分の予想を書き、考えを深めていく様子がよく分かる。
 国語辞典に興味を持ったことを感じさせる作文である。
 三日間続けてみると、子ども達一人ひとりに個性的な作文が現れた。このように一つの言葉に対して追究する子の他、「調べる言葉にテーマを持つ子(動物、機械など男の子に多い)」、「調べた言葉から思い出した体験を面白く書く子」、どの子も自分の選んだ言葉に対して楽しく書いている様子が読みとれた。

2006年05月03日

●国語辞典作文

[国語授業実践]

 国語辞典に親しませたいと考えた。
 休み時間に図書室から国語辞典を用意することを伝えておく。
『国語辞典を使って、作文を書きます』
 四百字作文用紙を配り、やり方を説明する。
 『二行目に今日の日付と名前を書きます』
 『国語辞典を開きます。ぱらぱらとめくりながら国語辞典を読みます。読みながら「これいいな」と思った言葉を一つ決めます。コツは自分の知っている言葉を選ぶことです』
 言葉を選ぶ時間を三分とる。すぐに決める子もいれば、なかなか決められない子もいる。
 三分も経つと全員が言葉を選ぶことができた。

 『次に作文用紙のタイトルを書きます。一行目に今、自分たちが決めた言葉をタイトルにします』
 全員がタイトルを書いたことを確認し、次の指示を出す。
 三行目に、自分たちが選んだ言葉の定義を写します。(1)(2)のように意味がたくさんある場合は、自分が「これがいいな」と思うものを写します」

 黒板に、例として、

『ねむる【眠る】(動)(1)目をつむり、心や体がしぜんに活動をやめて、休んだ状態になる(対)覚める。』(例解小学国語辞典)

と書く。
 そのままを視写すればいいのだが、混乱した。記号と言葉を同じマス目に書くもの、定義の文のふりがなの扱い、そのまま写すことへの抵抗など。
 今までにこういう経験がなかったのか、分からない児童には個別指導で対応した。
 特に、最後の出典を書き落とす子が多かったので、この点は最後に取り上げて全員が書いてあるか隣同士で確認させた。

 みなさんが、これいいなと思った言葉をもう一度読みます。
 その言葉の意味を読んで、気がついたこと、考えたこと、思い出したことなどを、次の行から書きます。

 みんな、「え〜」とは言うものの、すぐに書き始めた。
 授業後、作文用紙を回収し読む。
 大きくわけて、次の三つのパターンが読み取れた。
 (1)その言葉から思い出したエピソードを書いているもの。
 (2)その言葉の意味は知っていたが、他の意味を発見したことを書いているもの。
 (3)その言葉の意味と、自分が使っていた意味にズレがあったことを書いているもの。
 一つずつ紹介する。
 ぶざま  『ぶざま【無様・不様】かっこうの悪い様子。みっともない様子。』(くもんの学習国語辞典)
 自分はこの言葉を、相手が何かミスをした時に言っていました。
 ぶざまといえば、とあるアニメで、
「君はぶざまだね。」
と言っていました。
 そのあとから。姉がよく私がころんだりした時に、 「ぶざま!」 と笑うのです。姉はつまり、私の事を『みっともない』と言っているのです。私はちょっと「ムッ!」となりますが、姉はちゃんとぶざまの意味を知っていたので、ちょっとは見直しました。

 Aさんはこういう作文は大得意です。エピソードの切り取り方がバツグンにうまいです。ユーモアを感じさせる文章になっています。

 すいしょう 『すいしょう【水晶】(名)六角柱の形に結晶したとうめいな石英。印材・光学機器などに使う。クリスタル。』(学研現代標準国語辞典)
 ぼくはいままで水晶は石英だということは知っていたけれど、とうめいじゃないと水晶じゃないと書いてあるのにびっくりしました。
 他に、印材と書いてあるのにびっくりしました。  印材ということは、水晶の印かんがあるということになります。
 あと光学機器というと、いろいろな機器に水晶が入っているということです。
 水晶って便利だなあと思います。

 辞典の定義の言葉に反応しているのがいいです。「印材」という言葉から、自分の予想「印材ということは、水晶の印かんがあるということになります」が書けているのがとても良いです。

 ごはん 『ごはん【御飯】(名)「めし」「食事」のていねいな言い方。』(例解小学国語辞典)  食事っていうのはていないな言い方ではないのだろうか。  自分にとってごはんとは、お米をたいたものということで使っていた。  私はよくお母さんに、 「ごはんをよそって。」 といわれる。  私は決まっておかまからしゃもじでお米をおちゃわんによそう。  そのとき、いつもごはんというのは、お米のことをさしていた。  でも、パンが食事にでてもごはん。ピザが食事にでても、ごはん。  だから、一日の食事に出る物(パン、ピザなど)は全部ごはんということになる。

 ふだん何気なく使っている言葉でも、こうしてきちんと辞典で調べてみるとおもしろいことに気がつきます。典型的な辞典作文になりました。「ごはん」と「お米」との微妙な言葉のズレがとても面白いです。
 いろいろ可能性を考えさせる作文である。

2006年05月02日

●デジタル作文(鎌倉社会科見学)

[国語授業実践]

いざ鎌倉 一枚の写真から

コンピュータの時間を使って、作りました。

 以下の手順で2時間使い仕上げました。

 1.デジカメの写真をコンピュータに取り込む。
 2.使う写真を決める。
 3.Wordに流し込む。
 4.紹介文を入力する。

 早く仕上げた子どもの作文を紹介します。

1054163588_300x452_resize1 楽しい楽しい鎌倉社会科見学! 5月26日私達6年生は鎌倉社会科へ行きました。↑この写真は鎌倉の名物の高徳院の大仏です。  私達の班は、最初に江の電に乗り一番最初に「長谷寺」に行きました。ここでは、十一面観音という十一個顔がある、観音様を見ました。  つぎのお寺に行く時はドキドキしながらいきました。ついた先は、鎌倉名物の「大仏」(高徳院)です。高徳院では大仏の体内の中に入れるので入りました。  そして、じっくり見終わった後は、先生達でもきついといっていた、「ハイキングコース」を歩いて源氏山公園に行きました。「源氏山公園」で美味しいお弁当食べて、お菓子もたべてお腹いっぱーい。そして源氏山公園で有名の源頼朝を見ました。  お腹一杯になったところで、次に行くとこは「銭洗弁財天」にいきます。ここでは、お金を洗いました。ここのお水でお金を洗うと、増えるという言い伝えがあると聞いていました。なので、「お金〜増えてくださーい。」と思いながらお金を洗いました。この、時点でもぅ死にそうなぐらい足が疲れました。疲れ果ててもぅ動きたくないとおもっていても、まだ1つ回るとこが残っていたのです。それは、鎌倉のお寺の中で1番有名といわれる「鶴岡八幡宮」です。鶴岡八幡宮では酒だるがいっぱいあってビックリしました。  今回の社会科見学は班行動で見学しました。ハイキングコースをいったり、いっぱい回るとこがあったので、とっても、疲れました。でも、その分たくさん楽しく学びました。
1054113863_300x456_resize1 鎌倉社会科見学 五月二十六日 6年生は鎌倉に社会科見学に行きました。  6年2組の3班は、まず、長谷寺に行き、そして高徳院、裏大仏ハイキングコース、銭洗弁財天、源氏山公園、鶴岡八幡宮というように、鎌倉をまわりました。  なかでも一番凄いと思ったのが高徳院の大仏です。写真などで見た時はそれほど大きくは見えなかったのですが、実際にみてみるとものすごく大きいことがわかりました。胎内に入ってみるとてっぺんの頭の部分に穴があいていました。しかし胎内の中はそれほど広くはありませんでした。  そして、大仏の裏の方に与謝野晶子の詩もありました。その詩はこういうものです。 「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男に おはす 夏木立かな」 この詩の中の「釈迦牟尼」は大仏のことですが、本当は「阿弥陀如来」という名前です。  高徳院には色々なみどころがあります。みなさんもぜひ行ってみてください。
1054113630_300x455_resize1 鎌倉社会科見学 私達は5月26日(月)に鎌倉へ社会科見学に行きました。 コースは 長谷寺→高徳院(大仏)→銭洗弁財天→源氏山公園→鶴岡八幡宮でした。  その中の一ケ所を紹介いたします。  鎌倉長谷寺  この上の写真は長谷寺前で撮った物です。  長谷寺の中には、11面観音(長谷観音)や七福神。洞窟らしき所等が有りました。  11面観音は9m近く有るとは知っていましたが、実際に見てみると、凄く大きな物でした。木造だそうですが、とても木造には見えませんでした。  七福神の置き物が有るお堂があって、そのお堂の中に様々な大きさの物が置かれていました。  洞窟らしき所の中には、壁に七福神等が彫られていました。  奥の方に進んでいくと、七福神の手乗サイズの物が置いて有る所が有りました。  七福神や山上様等を祀っている様でした。
 キーボードの練習はさほどしていなかったのですが、はじめはとまどいがちでも、やがて慣れると集中して入力をしていました。

2006年05月01日

●デジタル作文

[国語授業実践]

 デジタル作文とは、コンピュータ上で作文を書くというもので、私の造語です。
 簡単に言って、コンピュータを使って作文を書くというものです。
 今回は、6年生の子どもたちにデジカメを一台ずつ渡し、学校の中で自由に写真を撮ってもらいました。
 そして、その撮った写真の中から一枚選んでもらい、それについて作文を書いてもらいました。
 使ったコンピュータはiMac、使用ソフトはMicrosoft Wordです。

 授業の大まかな構成
 1.デジカメを渡し、学校内で自由に写真を撮ってくる。(なるべく他の人は撮らないだろうなと思える所を撮ってくる。)・・・1時間
 2.撮ってきた写真から一枚を選び、Wordに取り込む。・・・1時間
 3.その写真を見て、なぜその写真を撮ったかを作文する。(A4一枚に仕上げる。)・・・2時間
 出来上がった作品は、プリントアウトし、教室の廊下に掲示した。

 以下に、よくできている作品を3点紹介します。作文を書く時にはその中に、自分が撮ったものと自分とのエピソードを書くように指示をしました。

● デジタル作文(1)1059292822_300x409.gif バスケットボール  私は体育館の写真をとりました。なぜこの写真をとったかというと、私が体育がすきだからです。あと、何となくです。いつもはこのボールは使わないのですが、休み時間などこの重いボールでシュートに入るとすごくうれしいです。でも、 私はこのバスケットボールにはちょっと苦い思いでがあります。  それは3年生ぐらいの時のお昼休みの事です。一時期すごくバスケにこっていたころがあって、友達と一緒にシュート練習をしていました。私がゴールの下にボールをとりにいったその時です。あとの人の投げたボールが立とうとした私の頭に、思いっきりあたったのでした。幸い私は石頭だったのでたんこぶができるぐらいですみました。でも、あの時の痛さは相当なもの。それから私はバスケットボールにはちょっと警戒心をもつようになりました。  あれから数年。たまにボールにあたってしまった人をみると「その気持ちわかる」と思ってしまいます。でもやっぱり好きなボール遊びはやめられません。みなさんもバスケをやってみてください。
 
● デジタル作文(2)1059292596_300x422.gif ひやっ  この写真は、学校の体育館にある水飲み場です。  この写真は、ある日の国語の時間に好きな写真を撮ってくる事になり、いろんな写真の中から選ばれた代表作品です。  ふと、この水飲み場を見て、あっっと思いました!  これはいつもお世話になっている冷水機だ!  いつも、私は外や体育館で遊んでいるので、必ずチャイムが、なるとこの、冷水機の所に駆け込んでいきます。  この冷水機は私の中では学校1だと思います。  いつでも「ひやっ」としてて美味しいのです。  この写真をよく見ると・・まだ誰も飲んでないのに、水滴が・・  多分休み時間にたくさんの人が「ごくごく」っと音をたてて満足するまで飲んだんだと思います。  出もよくてちょうどいい高さに「ピロロロロ」っと出ます。  冬は、あまり気にしないけど夏は大切な冷水機です。  みんなもちょこっとだけ意識して冷水機を見てみてください。
 
● デジタル作文 作品(3)1059292252_300x412.gif 学校のあじさい  私は、校庭のアジサイを撮りました。  なぜ校庭のアジサイの写真を撮ったかというと、この時期アジサイがきれいだからです。このアジサイは、4年生の時に、理科の授業で観察したアジサイです。これまで、アジサイをしんけんに見たことはありませんでした。観察の時にしんけんに見ていたら、けっこうアジサイがきれいだということに気がつきました。それからは、アジサイをよく見るようになりました。アジサイは、つゆの時期の花です。雨にぬれたアジサイもきれいです。つゆの時期にしか見れないアジサイは6月の定番です。小さな花がいっぱい集まっていますが、小さな花1つ1つがきれいです。アジサイをぱっと見ると何も感じませんが、よ〜く見ると花束のようです。そして、学校の校庭の緑が多い中にあるアジサイはふつうのアジサイよりもきれいに見えます。それは、いっぱいの花に囲まれているからです。  みなさんの好きな花はなんですか?ぜひ教えてください。
 

2006年04月26日

●頭に浮かんだこと作文

[作文実践, 国語授業実践]

■指導法
  5分間、頭の中に浮かんだことを書く。それだけの作文の授業です。書き慣れるための指導法の一つです。

 まず、原稿用紙(400字)を各一枚配る。

 今、頭の中に浮かんでいることを書きなさい。

 『1分です』
 前置きなしに、いきなり切り出す。
 「え〜」との声が聞こえる。
 「何にも考えていないよ」
 『「何にも考えていないよ」、と考えたでしょ』
 『今、たった今、考えていることを書けばいいのです』
 半ば、強引に、
 『では、1分間です。よーい、どん』
 時計を見ながら進める。
 「こんなことでいいのかなぁ」と首をひねりながら一文書いている子がほとんどである。
 『では、やめ』
 1分たったことを確認し、声をかける。
 『では発表します』と言って、子どもたちの作文用紙を教師が読む。
 「だめー」と言う声もあるが、教師が読み進める。
・「早く家に帰ってねて〜」(男子)
・「どんな感じで書けばいいか分からない、って書こうかな」(女子1)
・「20分休み、ひなん訓練で、あまり遊べなかったな」(女子2)
 「いいです。その調子です。そういう文でいいんですよ」  一つひとつを認めてあげる。教師が読むと、初めは不安そうにしていた子も、ほめられて一安心している。
 『では、もう一度やります。また、一分間です』  今度は書き方が分かったのか、安心して取り組む。

 作文かぁ。
 めんどうくさいな。
 鼻がかゆい。
 目がかゆい。
 はらへったなぁ。
 ほかに何書こう

 文が重なってきていることがわかる。
 これも一分がたって発表会をした。

 今から5分間、つぎつぎに浮かんでくることを、できるだけ落とさずに書き続けなさい。

 『ポイントは浮かんでくることを「できるだけ落とさずに」書くことです』
 5分後にグループ発表会をする。やり方は以下の通り。

 1.グループで読み回す。(1グループ6名程度)
 2.よく書けているなぁと思う作品を一つ選ぶ。
 3.選んだ作品を教師が読み上げる。

 グループでの読み回しでは、声を上げて笑い出す子、「へー、そうなんだ」と興味深く読んでいる子と様々である。

■子どもの作文

 5分間で書くなんて、絶対むりだからね〜。こういうの苦手なんだよね〜。  また、だれか黒板に変なの書いてるよ。  ○男くん、ものすごくたいくつそう。○男くんって何考えているのか分かんないしね。  ×男くんと目があっちゃったよ。なんだかつかれてるかも。  防災くんれんとかさ、あれ「防災くんれんです」って言っちゃったらだめだと思う。「本当の火事です」とか言ってやったら、みんなあわてそうだな〜。でも、○男くんはあわてなさそう。  △男くん、かなり書いているよ〜。ピンチだよ〜。○子さんなんか裏にまでぎっしり書いてるしね。(6年男子)

 (うまく、落とさずに書けています。ぶつぶつ言っている感じがおもしろいです。)

 何かとてもだるい。
 なんだかつまらない。
 すごく眠い。
 花粉症でとてもつらい。
 先生、これでいいっていってくれるかなぁ。
 早く家に帰りたい。
 眠い。早く帰りたい。
 今年の阪神どうだろう。
 坪井完全復活するかな。
 早く帰ってオープン戦みたい。
 あ〜、つまんない。
 やることないな。
 この学校、毎日、休み時間に野球やらせてくれれば楽しくなるのに。
 あ〜ぁ、ボール一個なくしちゃったし、どうしよう。あそこの家のおじさん、こわいし、取ってもらえないよな。家の近く、野球の練習場ないし、家の前でやると、近所の人に怒られるし。じゃぁ、いったい何をすればいいんだ。

(だんだん、書くことが狭まってきて、一つのことに集中して書き始めていることが分かります。
 この子の頭の中をのぞいている気がしてきます。)

■追試しての新しい発見
 ・はじめはめんどぐさがっていた子どもも、授業が終わって感想を書いてもらったら、またやりたいとのことを書いていました。思いの外、長く書けたことを喜んでいました。
 ・唐突にやり方を説明し、5分間とるのではなく、1分間を2回とって、発表会をしたことにより、書き方のイメージをつかめたのがよかったと思います。
 ・5分間で書いてもらったとき、書きしぶる子どもがいましたので、書いている途中、そばに行き、教師が何かちょっかいを出して、反応したので「そのことを考えたでしょ」と言って、書かせました。

■参考文献
 ○戸田唯巳著「作文=どのように書かせるのか」(明治図書・1973年刊現在絶版)
 ○授業づくりネットワーク1993年11月号ナンバー74(学事出版)
  上條晴夫論文『「授業感想文」でヒットポイントをさぐる』
 今回の授業は上記の上條論文の追試です。原実践の発表会に関しては、詳しく書かれていませんでしたので、今回は5分後の発表会をグループにして読み回しをし、代表作品を選ぶこととして授業を行いました。
 戸田唯巳著「作文=どのように書かせるのか」は現在入手困難ですが、図書館で探してみてください。作文教育を行う上で必読書です。

2006年04月24日

●ラブレター作文ーオノマトペを使ってー

[国語授業実践]

 黒板に、次の4つのオノマトペを書く。

どきどき わくわく つんつん しくしく

『この4つのオノマトペを使ってラブレターを書きます』
ラブレターと聞いただけで子どもたちはおおさわぎ。
「キャー」「ワー!」「ゲー!!」
「好きな人なんていないよ〜」
「はずかし〜」
『みなさん、落ち着きましょう』
『架空の人でいいのです。自分の想像した人に、ラブレターを書くのです。芸能人でもいいし、A子さんでもかまいません』
この説明を聞いて、みんな一安心。でもコウフンさめやらぬ子もいた。
一番早く書き上げた子の作文を載せる。
 Pくんへ
 私は、Pくんのそばにいると、どきどきしてしまいます。
 いつも話しかけるとつんつんされますが、話しかけるだけで私はうれしくて、わくわくしてしまいます。
 この前、私は、Pくんにいじめられてしくしく泣いてしまいました。
 でも、私は、Pくんが好きです。

 最後の文がとても感じがでているような気がする。
 見本として読み聞かせをした。みんな興味深く聞いていた。
 W6さんへ
 ぼくは、あなたに会えなくてしくしく泣いています。
 今度、ハチ公前で待っています。今から、わくわくしています。
 よぶときは、かたをつんつんしてください。
 あなたに会えるとどきどきです。

 「ハチ公前で待っています」がリアリティーさを感じる。
 男の子の中でもこのSくんは、このラブレター作文を書くと言った時から、顔から笑みがこぼれていた。
 お兄ちゃんへ
 よくケンカしてわたしはつんつんすることが多いですよね。
 よくあなたがさきにしくしく泣いて、すねることがありますよね。
 でも、あなたと遊ぶ時、わくわくしてうれしいです。
 しぶいですが、将棋をやる時、どきどきします。いつもまけているわたしはいやになることもあります。
 でも、そんなお兄ちゃんが大好きです。(妹より)

 こういう文章を読んでいると心が暖まる。
 1文目と2文目を「よく・・・ね」と繰り返しているのがいい。そして、それを受けて逆接の「でも」を使っているのもうまい表現である。
 えだまめまめお君へ
 ラブリ〜なえだまめまめお君。
 いつもえだまめを食べる時、まめお君の仲間を食べるみたいで、かなしくなり、しくしく泣いてしまいます。
 ときどき、まめお君みないなまめを見つけると、つんつんとつついてしまいます。
 まめお君を見るとどきどきしてしまいます。
 いつも話しかけられるとわくわくしてしまいます。
 超ラブリ〜なまめお君。大好き。

 Mさんがえだまめを食べている様子が目に浮かぶ。2文目、3文目はとってもいい。
 モノを人にたとえる表現技法を擬人法という。この技法を使って書いている。

 一つできたらみんなに読み聞かせをして盛り上がり、また一つできると喜ぶと、この1時間、みんなで楽しめた作文授業であった。
 (1998年10月20日4年生の実践)

2006年04月22日

●座右の銘を考えよう

[国語授業実践]

 6年生の国語の時間に「座右の銘を考えよう」という授業をしました。
 「座右の銘」と言ってもなかなか子どもたちには分かりづらいです。
 国語辞典で調べてみました。

「座右の銘」:身近において、日常生活のいましめとする格言など(角川必携国語辞典)

『自分たちが普段生活をしている時に、
「あぁ、こうしなくてはだめだよな」などとその言葉を使って自分の考えや行動を見直す時にいつも自分が覚えておいて使うんだよ』
と伝えました。

 はじめは、何のことだろうと考えていた子どもたちも、数人が分かりはじめると、それを例に取り上げることで、みんな理解したようです。

 そこで、自分にとっての「座右の銘」を決めようということになりました。
 思いつきで、ことわざや格言、名言をノートに書いていきます。

 中には、「身から出たさび」と書く子もいて大爆笑!本人もよく意味が分かっていて苦笑いといういう場面もありました。

 いかんせん、教室の中ですぐに決めろというわけには情報不足なので、3つ自分で見つけてノートに書いてこようという宿題としました。

 次の日の時間、自分で決めた座右の銘を色紙に書いてもらいました。
 子どもたちに筆ペンを用意させ、私は色紙を用意してきました。色紙はダイソーで購入したら2枚で100円でした。

 きれいさよりも、とにかく太く、強調する字は大きく書くように指示しました。
 色紙の裏には、その言葉の意味、なぜその言葉を座右の銘にしたのかを書きました。
 右の「ちりも積もれば山となる」の色紙の裏に次のように書かれています。

 ちりも積もれば山となる  ちりも積もれば山となるとなるということわざの意味は、どんなちいさいごみもでもたまっていけば山のように積もるという意味です。  なぜ、この「ちりも積もれば山となる」ということわざにしたかというと、このごろ私はちまちまちまとお金を使ってビーズを買っています。でも、まだ使っていないビーズがたくさんあるのです。たとえば50円のものを毎日買っているとしても10日たてば500円にもなります。私だって毎日230円のビーズを買っていたら10日で2300円にもなってしまいます  だから、私は、ビーズなど、お金を使うときにはこの「座右の銘」を思い出して、お金のむだ使いをしないようにしようと思います。

 よく、意味を理解して書かれている作文です。色紙の字の味も感じられ、とても上手に仕上がっています。
 
 作品が完成したら廊下のボードにクラス全員の色紙を掲示しました。ちょうど参観日とかさなり、保護者の方々も興味深く見て頂くことができました。
 作品をちょっぴり紹介します。

zayuu

 こどもたちは、失敗が許されないので、真剣に書いていました。
 ちなみに、一番左は、私が書いたものです。 

2006年04月16日

●五色百人一首

[国語授業実践]

 岩波書店から毎年「読書のすすめ」という小冊子が無料で配られている。今年で第七集目を数えるくらいなので、読者から好評なのであろう。岩波文庫の体裁で、ただで貰えるし、ちょっとした読書の合間に読むのに都合がいい。
 そこには、一流の作家や著名人が読書についてのエッセイを書いている。過去には大江健三郎、大岡信、中野孝次など、淙々たるメンバーである。
 先日、本屋で偶然第七集を手に入れた。早速読む。三浦雅士の「読書と年齢」という文が気に入った。ちょうど私が今年から実践している「五色百人一首」「外郎売」の暗唱に都合のいい文章だったからだ。

 長くはなるが、以下、引用する。

意味を無視してただ暗記させるのは非人間的だと主張するものは、自分の体験を思い出してみるがいい。古典を一読していったいどれだけよく理解しえたか。年を経て片言隻句を思い出し、読み直して、ああそうだったのかと気づくのが読書というものなのである。意味を支えるのは人生経験の厚み以外ではない。  たとえば、「久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ」でもいい。『古今集』の一首として十代に暗記したこの歌が、二十代のある春の日に不意に口の端にのぼる。その瞬間、春という言葉、花という言葉の奥行きが一挙に体得されるのである。それが鑑賞の基本であり、かつ、読書の基本、読書の醍醐味なのだ。『拾遺集』の「あひ見ての後のこころにくらぶれば昔をおもはざりけり」なら、さらに切実だろう。  意味があって言葉が求められるのではない。言葉が意味に寄り添う、いや、意味が灯(とも)るのである。(三浦雅士「読書と年齢」)

 今年の五年生の国語の目標として、暗唱を位置づけている。古今の名文を暗唱するというものである。
 五色百人一首はそのはじめで、百人一首を楽しみながら覚えようという試みである。
 この五色百人一首(東京教育技術研究所発売)には普通の市販されている百人一首とは違い、工夫が2点ある。
 1)百枚全部でやるのではなく、五色に分けられている。1試合20枚、およそ3分でできる。
 2)取り札のうらに上の句が書かれている。ゲーム中に見ることができ、ゲームをやりながら覚えることができる。
 こうして、子どもたちはゲームをしながら自然に一首ずつ覚えることができるのである。

 5年生では、今、百人一首が大ブームだ。
 先日、自学の日記に「百人一首対戦日記」を書いてもらった。一つ紹介する。

 「百人一首対戦日記」  私の周りからは、 「はい!」 という声が聞こえてくる。 「はい」 と同時に、 「バシッ」 という音も聞こえてくる。  今は百人一首のカルタをやっているのだ。中には強い人もいて、先生が、 「あしびきの〜」 と言った瞬間に 「はい!」「バシッ」 となり、カードをとる人もいる。  私も一生懸命にキョロキョロ探す。  私がとれなかったことが一度もないカードがある。  それは、 「いにしえの  ならのみやこの  八重桜  けふここのえに  におひむるかな」 だ。その他のカードは、とったり、とられたりしている。  今度は全部覚えて、勝負してみたい。

2006年04月13日

●デジタルストーリーテリング

[国語授業実践]

 昨年(2003年)9月に、長崎に修学旅行に行きました。
 子どもたちは、グループでデジタルカメラを持って行き、いろいろな見学先の写真を撮ったり、自分たちの記念写真を撮ったりと、上手に使いこなしています。
 デジタルストリーとは、写真を元に、まぁ、コンピュータ上での紙芝居を想像してくれればいいのですが、、、。

 6年生の9月に長崎に修学旅行に行きました。そこでは、主に3つの観点から学習をしてきました。
1.平和学習
2.長崎の歴史 
3.文化体験
です。
 修学旅行後、「情報、国語、社会」を通してそれらの学びのまとめとして、コンピュータを使い、デジタルストーリーとしてまとめました。

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2006年04月11日

●「ブックトークショー」で読書紹介

[国語授業実践]

■授業のへそ
 教室に簡易TVスタジオを作った。そこで、実際にTVのトーク番組仕立ての読書紹介発表会をした。カメラ、テレビ、ワイヤレスマイクを教室に持ち込むことで、子ども達は興味深く発表会を楽しむことができる。〈小学校6年〉

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●図書目録であそぼ(5年国語)

[国語授業実践]

■図書目録を使おう
 図書目録を使って、読書指導をした。
 次の3点を目録を見ながら教える。

(1)目次  ・・・分野ごとに分けて並んでいる。 (2)書名索引・・・本の題名で調べる。 (3)人名索引・・・書いた人の名前で調べる。
  

 書名索引を開かせ、使い方を教える。
『「星の王子さま」を調べたいとき、書名索引を使います。五十音の順番で並んでいるから、「ほ」のところを調べればいいね』
と言って、子ども達といっしょに調べてみる。
『6ページとなっているから、この本の6ページを開けばいいんだ』
 子ども達は簡単そうに開いていた。そこで紹介されているあらすじを読んであげると、読んだことのある人はうなずきながら、読ん
だことのない子は、「ふうん」という顔をしている。
 同様に、人名索引も試してみる。ここでは「ドイル」と言って「シャーロックホームズ」の本を調べた。

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2006年04月10日

●3色ボールペンを使った授業 その1(新発明のマクラを読む)

[国語授業実践]

線の引き方を教える
 3色ボールペンを使った授業を行った。
 齋籐孝著「三色ボールペンで読む日本語」(角川書店2002年3月30日)を参考に授業を作った。
 教材費を使って、学年全員に配る。正確には、4色ボールペン(黒、赤、青、緑)である。
 以下の説明をする。

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2006年04月04日

●リピートスピーチゲーム覚え書き

[国語授業実践]

 リピートスピーチとは、相手のスピーチを聞きメモを取り、そのメモを元に相手のスピーチを再現するスピーチである。

 このリピートスピーチの授業を開発したきっかけは、いつも、子どもたちにメモを取らせるにはどうすればいいかと考えていた時である。
 メモとは、自分が聞いてそれを紙に書く。自分流のメモでいいのだが、子どもたちのメモを見ていると、次の3点が気になった。
 1)必ずしも、効果的に書かれていない。
 2)そのメモを子どもたちは有効に使っていない。
 3)何をメモするのかよく分からず、文章になっているメモが多い。必然的に書き漏らしていることが多い。

 メモの取り方はすでに、ディベートのフローシートの書き方がある。"小学校 はじめてのディベート授業 5つの指導ステップシリーズ・教室ディベート〈6" (池内 )
 ポイントは、次の4つである。
 ①ラベルを正確に聞き取る。
 ②単語レベルで書く。固有名詞、数字に気をつける。
 ③省略記号を使う。
 ④言葉の関係を矢印を使って書く。
 しかし、この4つのポイントが押さえてメモがとれているかどうかを普段の授業で検証するのは容易ではない。個別に教師が点検しないといけないからだ。
 メモがキチンととれているかどうかを考えるとき、要は、そのメモを見て、そのスピーチが再現できるかでメモの質が決まると考えた。
 そこで考えついたのが、リピートスピーチである。
 ただ、このままだと授業としては、あまり面白くない。このリピートスピーチをゲーム化しようと思った。

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