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2006年04月10日

●3色ボールペンを使った授業 その1(新発明のマクラを読む)

線の引き方を教える
 3色ボールペンを使った授業を行った。
 齋籐孝著「三色ボールペンで読む日本語」(角川書店2002年3月30日)を参考に授業を作った。
 教材費を使って、学年全員に配る。正確には、4色ボールペン(黒、赤、青、緑)である。
 以下の説明をする。

 黒板に書きながら以下の、一つひとつを説明する。

 3色ボールペンの使い方。
 本やプリントなどを読む時に線を引きながら読みます。
 青・・・まぁ、大事かなと思われるところ。
 赤・・・これは一番大事。これがなくちゃ、話がわからない。
 緑・・・話には関係ないけど、自分にとって大切だなと思うところ。

 定規を使わないで、ノートの余ったところに線を引く練習をさせる。

■物語に線を引きながら読む
 次に、星新一著「きまぐれロボット」(角川文庫)の中から「新発明のマクラ」の全文をプリントしたものを配る。
 『時間を少し上げるので、一気に読みます。』
 中には、「これ、知ってる」という声もあがった。
 『読み終わって、「なるほどな」と思えた人は合格です』と言う。このお話の落ちが分かるかどうかを確認してみたかったからだ。読み終えて「ニコッ」としている子は分かった子だ。
 半数が読み終わった頃合いを見計らって、教師が範読する。
 『全員、ボールペンを持ちます。まず、青を出してください。青を中心にどんどん線を引きなさい』
 教室中「カチャカチャ」とボールペンの音がする。
 途中、以下の質問がでた。
 ・線が重なってもいいですか。→もちろんいいです。青を引いた後、赤を引く時はよくある。また、緑が重なってもいい。
 ・赤線を引くところがないのですが、いいですか。→この物語では、必ず一カ所は赤線を引くところがあります。
 5分が過ぎ、全員が線を引き終わる。
 次のように言う。
 『みなさんが青と赤の線を引いたところだけを読みなさい。
  線を引いたところだけで、お話の筋が通る人は線の引き方は合格です』
 みんな、驚いた様子を示したが、「うん、うん。分かる、分かる」と言う子もいれば、「わかんな〜い」と言う子もいた。
 そこで、『分からなかった人は、どこに線を足せばいいのかを考えます』と指示をした。
 次に、教師が引いたところを、理由をつけながら、全員で確認する。

■要約文を書く
 残り10分となり、作文用紙を一枚配る。
 『このお話のあらすじを1枚以内で書いてください』
 『一行目はこのお話のタイトル「新発明のマクラ」、二行目に自分の名前を書きます。
  書き出しは、次のようにします』
 と言い、板書する。
 エフ博士はマクラを発明した。
 質問は特になかったので、すぐに書き始めた。
 以下、平均的な作品例である。

 新発明のマクラ
 エフ博士はマクラを発明した。そのマクラは眠っているうちに英語が話せるようになるマクラだった。
 それを聞いたおとなりの家の主人が、「使わせてください」と言ったので博士は喜んでマクラをかした。
 しかし、二ヶ月ほどたつとおとなりの主人は、マクラを返しに来た。話を聞くと、英語がいっこうに話せないのだという。
 原因がわからないまま、しばらくたったある日、おとなりの女の子に会った。エフ博士は声をかけた。
 女の子は「お父さんは、ねごとを英語で言う」と話した。
 やはり、眠っているあいだの勉強が役に立つのは、眠っている時だけなのだった。

 話の筋をしっかりととらえている作文である。青線と赤線をうまく使って書けている。
 会話文を「〜だという」というように書きかえているのがうまい。
 ほとんど、全員の子がおよそ上記の様なあらすじを書くことができた。
 早く終わった子から裏に授業感想を書いてもらった。
 どの子も4〜5の授業評価をくれた。
 ・大事なところが、色分けできてよくわかった。
 ・色分けをすると、文章がわかりやすくなった。
 ・あらすじを書くのがおもしろかった。
などの感想が多かった。(2002年4月)

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コメント

ほへ~!なんか面白そう!あたしも四色ペン使ってるよー!でも教科書カラフルにしながら読むと楽しく思えるっていう理由で気分転換で色変えたりしてたの。でも今これ読んでなるほどー!って思った!あたしもやってみる!

うちでは昨年から中1で3色ボールペンをやってます。
僕も今年は高1と高3でやろうかなと。

斉藤さんの本の中に出てきたものの追試、いいですね。

これ、ぼくもやってみますね。

>おもさんへ
実践的な線の引き方は、齋籐孝著「三色ボールペンで読む日本語」をご参照ください。確か、今は角川文庫でも出ているはずです。
線を引いて読む、書き込みをして読む読み方は、とってもいいです。

>イクトスさんへ
お久しぶりです。斉藤さんの実践は「線の引き方」ですが、ぼくはこの線を引かせて、要約まがいな作文を書いています。
以前、レポート指導をしているときに、資料は集められるのだけれど、それをただひたすら写すだけのレポートになってしまう子が多かったので、こんなやり方をすれば効果的かなと思って実践してみました。

斉藤さんも、青と赤の線を引くことで、要約力をつけることを言っていたかと思います。
僕も線を引かせてから要約文を書かせてみようかと思っていたので、参考になります。

ただ、要約をする場合には、3色ボールペンの目安はちょっとアバウトかな、という気もしてます。

>斉藤さんも、青と赤の線を引くことで、要約力を…
確かに。ただ、「三色ボールペン」の本が出てからじゃなかったかと。どうも、以前の実践なので自分自身良く覚えてはいないのです。
>ちょっとアバウト
キチンとした要約文を作るってやったことはないのですが、アバウトくらいがちょうどいい気もします。

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