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2006年04月26日

頭に浮かんだこと作文

[作文実践, 国語授業実践]

■指導法
  5分間、頭の中に浮かんだことを書く。それだけの作文の授業です。書き慣れるための指導法の一つです。

 まず、原稿用紙(400字)を各一枚配る。

 今、頭の中に浮かんでいることを書きなさい。

 『1分です』
 前置きなしに、いきなり切り出す。
 「え〜」との声が聞こえる。
 「何にも考えていないよ」
 『「何にも考えていないよ」、と考えたでしょ』
 『今、たった今、考えていることを書けばいいのです』
 半ば、強引に、
 『では、1分間です。よーい、どん』
 時計を見ながら進める。
 「こんなことでいいのかなぁ」と首をひねりながら一文書いている子がほとんどである。
 『では、やめ』
 1分たったことを確認し、声をかける。
 『では発表します』と言って、子どもたちの作文用紙を教師が読む。
 「だめー」と言う声もあるが、教師が読み進める。
・「早く家に帰ってねて〜」(男子)
・「どんな感じで書けばいいか分からない、って書こうかな」(女子1)
・「20分休み、ひなん訓練で、あまり遊べなかったな」(女子2)
 「いいです。その調子です。そういう文でいいんですよ」  一つひとつを認めてあげる。教師が読むと、初めは不安そうにしていた子も、ほめられて一安心している。
 『では、もう一度やります。また、一分間です』  今度は書き方が分かったのか、安心して取り組む。

 作文かぁ。
 めんどうくさいな。
 鼻がかゆい。
 目がかゆい。
 はらへったなぁ。
 ほかに何書こう

 文が重なってきていることがわかる。
 これも一分がたって発表会をした。

 今から5分間、つぎつぎに浮かんでくることを、できるだけ落とさずに書き続けなさい。

 『ポイントは浮かんでくることを「できるだけ落とさずに」書くことです』
 5分後にグループ発表会をする。やり方は以下の通り。

 1.グループで読み回す。(1グループ6名程度)
 2.よく書けているなぁと思う作品を一つ選ぶ。
 3.選んだ作品を教師が読み上げる。

 グループでの読み回しでは、声を上げて笑い出す子、「へー、そうなんだ」と興味深く読んでいる子と様々である。

■子どもの作文

 5分間で書くなんて、絶対むりだからね〜。こういうの苦手なんだよね〜。  また、だれか黒板に変なの書いてるよ。  ○男くん、ものすごくたいくつそう。○男くんって何考えているのか分かんないしね。  ×男くんと目があっちゃったよ。なんだかつかれてるかも。  防災くんれんとかさ、あれ「防災くんれんです」って言っちゃったらだめだと思う。「本当の火事です」とか言ってやったら、みんなあわてそうだな〜。でも、○男くんはあわてなさそう。  △男くん、かなり書いているよ〜。ピンチだよ〜。○子さんなんか裏にまでぎっしり書いてるしね。(6年男子)

 (うまく、落とさずに書けています。ぶつぶつ言っている感じがおもしろいです。)

 何かとてもだるい。
 なんだかつまらない。
 すごく眠い。
 花粉症でとてもつらい。
 先生、これでいいっていってくれるかなぁ。
 早く家に帰りたい。
 眠い。早く帰りたい。
 今年の阪神どうだろう。
 坪井完全復活するかな。
 早く帰ってオープン戦みたい。
 あ〜、つまんない。
 やることないな。
 この学校、毎日、休み時間に野球やらせてくれれば楽しくなるのに。
 あ〜ぁ、ボール一個なくしちゃったし、どうしよう。あそこの家のおじさん、こわいし、取ってもらえないよな。家の近く、野球の練習場ないし、家の前でやると、近所の人に怒られるし。じゃぁ、いったい何をすればいいんだ。

(だんだん、書くことが狭まってきて、一つのことに集中して書き始めていることが分かります。
 この子の頭の中をのぞいている気がしてきます。)

■追試しての新しい発見
 ・はじめはめんどぐさがっていた子どもも、授業が終わって感想を書いてもらったら、またやりたいとのことを書いていました。思いの外、長く書けたことを喜んでいました。
 ・唐突にやり方を説明し、5分間とるのではなく、1分間を2回とって、発表会をしたことにより、書き方のイメージをつかめたのがよかったと思います。
 ・5分間で書いてもらったとき、書きしぶる子どもがいましたので、書いている途中、そばに行き、教師が何かちょっかいを出して、反応したので「そのことを考えたでしょ」と言って、書かせました。

■参考文献
 ○戸田唯巳著「作文=どのように書かせるのか」(明治図書・1973年刊現在絶版)
 ○授業づくりネットワーク1993年11月号ナンバー74(学事出版)
  上條晴夫論文『「授業感想文」でヒットポイントをさぐる』
 今回の授業は上記の上條論文の追試です。原実践の発表会に関しては、詳しく書かれていませんでしたので、今回は5分後の発表会をグループにして読み回しをし、代表作品を選ぶこととして授業を行いました。
 戸田唯巳著「作文=どのように書かせるのか」は現在入手困難ですが、図書館で探してみてください。作文教育を行う上で必読書です。

コメント

すっごく面白いです。内言語が育ちそうです、ね。

う〜ん。
内言語を鍛えると、作文が上手になる?
なりそうな気がするんだけど…。

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