「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(5)
■■■作文指導は「指示」が命だ!「3.規模の指示をする」(2) ■■■
作文を子どもたちに書かせる時、子どもの実態に即した文章量を前もって指示をする。しかし、文種によっては子どもの実態に即さない場合もある。例えばコンクールに提出するための作文である。
上條氏も次のように指摘する。
『(子どもが作文ぎらいなのは)教師が、子どもの状態を把握せずにある長さ(規模)を要求してしまうからである。その典型的な例が、夏休みの読書感想文だろう(p32)』
夏休みの読書感想文が子どもたちに負担になっているらしい。そこで今回は「規模の指示」を使って、この負担を軽くする指導を考えてみた。
■長い作文を小分けにする
夏休みに入り、私の運営しているホームページ「作文が好きになるHP」の掲示板にも、読書感想文に対しての質問が届いた。
質問内容(要旨)を紹介する。
1.小学校1年生の子どもが学校から読書感想文の宿題が出た。
2.作文用紙2枚である。
3.どう書いてよいか教えてもらいたい。
早速、次のように答えた。
こういう時は、いっぺんに書こうとしないで、小分けに書くのがいいです。
つまり、構成を立てておいて、分割し、最後につなぎ合わせるという方法がいいです。
一例をあげます。
■読書感想文の構成(作文用紙二枚。題名、名前で2行使うとして38行)自分と本との出会い・・・ 6行
簡単な内容紹介 ・・10行
気に入った文章を引用(1) ・・・2行
なぜその文が気に入ったかの理由 ・・・4行
気に入った文章を引用(2) ・・・2行
なぜその文が気に入ったかの理由 ・・・4行
この本を読んで自分がどう思ったか。・・10行
(感動したこと、これからしてみたいこと、疑問など)注1)行数は大まかな数です。
注2)「気に入った文章」と最後の「自分がどう思ったか」がうまくかみ合っていることが大切です。
つまり、2枚という大きな規模のものを、小分けをしたのである。
後は、この小分けをしたものをつなぎ合わせればいいのであるから、書く量の負担は一気に楽になるはずである。読書感想文という文種に対してこの構成内容の善し悪しは別問題としても、小分けにするという規模の指示は有効である。
作文は短くてもいいと思っている。自分の今の力で書ける量の中で自分の言いたいことが書ければそれでいい。
でも、もし、長い作文を書かなくてはならなくなった時には、このように、書く内容を小分けにして書くと負担がぐんと軽くなる。
しかし、どのように小分けにするか、小分けした作文をどう繋いでいくかとなると、今度は文章の構成を考えなくてはならない。これはこれで子どもたちにとってはやっかいな問題である。
そこで、教師の方がこの構成を子どもたちに与えてあげるようにする。子どもたちはその構成に従って書くだけになるのである。
「短い作文をたくさん書かせれば、だんだんと長い作文も書けるようになっていく。(p36)」
短い作文を数多く書きながら書き慣れを促し、書くことに対して抵抗感を無くしていく。そのような書く力を養っていけば、長い作文も「規模の指示」のように工夫さえすれば、比較的負担を無くして書くことができるようになる。
2003年8月10日(実践!作文研究メールマガジン第183号掲載