【実践・授業感想文3】
------上條晴夫氏の授業感想文を追試する------
今回は「実践・授業感想文」の最終回である。次に前回までの内容を記しておいたので参考にしていただきたい。
第1回・・・授業感想文の書き方、運用の仕方。
第2回・・・授業感想導入の授業、番号作文を使った授業感想文
今回は、授業感想文の応用として、「3つある式」と「授業レポート」の紹介をする。
■「3つある式」による授業感想文
5年生4月後半、ゴールデンウィーク前の国語の授業である。
授業感想文の書き方にも慣れてきたので、「3つある式」の書き方を教え、今までの国語の授業全体を振り返っての授業感想を書いてもらった。
「3つある式」の書き方とは国分一太郎著「みんなの綴り方教室」(新評論・1973年)で紹介されている書き方である。
簡単に言って、
「私には3つの悪いくせがあります。/ひとつめは、・・・。/(その詳しい説明)/ふたつめは、・・・(以下同様)」
という書き方である。
これを参考に次の書式を与えて、授業感想を書いてもらった。
国語の授業で、「これいいな」と思ったことは3つある。
1つめは、・・・
(くわしい説明)
2つめは、・・・
(くわしい説明)
3つめは、・・・
(くわしい説明)
簡単な感想
400字の作文用紙を配り、正味10分で書く。
すると、子どもたちはバンバン書くようになる。およそ九割の子
どもが作文用紙いっぱいに書くことができた。
典型的な感想文を一つ紹介する。
国語の授業で、「これいいな」と思ったことは3つある。
1つめは、先生のボケにつっこみを入れるのがうまくなった。
友達につっこみを入れる時、前は言葉を探すのに迷ったけれど、今はおもしろい言葉がぽんぽん飛び出してくるようになった。
2つめは、いろいろな言葉の意味を学習した。
家族で話している時、「この言葉の意味どういう意味」と聞かれると、すぐに答えられるようになった。
3つめは、どんなところが大切かを学習した。
1回めの時は、当てずっぽうで、「あ、ここかな」という感じだったが、最近は、「お、ここだ」と思えるようになった。
国語の授業を通して、いろいろな知識が頭に入ってきて、すごくうれしい。
自分の成長を感じさせる授業感想である。短いエピソードを入れて書いているのがとてもいい。
「3つある式」の書かせ方は、番号作文の発展形と考えることができる。今までは、(1)・・・(2)・・・と書かせていたものに簡単な理由を添えるだけでいいのである。
また、「3つ」と限定することにより、子どもたちは何を書くかを考えながら作文しているようである。
■授業感想文から授業レポート
上條氏は『「教師のための文章講座1 楽しい学級通信の書き方」』(学事出版刊・1994年)で次のように述べている。
ところで、もし授業感想文をより完全な形にしようとすると、次の二つがいる。
A 授業のあらすじ
B 感想
しかし、両方を要求すると子どもの負担が大きくなる。
確かに、授業のあらすじまで書かせると気楽には書けないであろう。
そこで、子どもの負担を少しでも少なくするために以下の書き方を教える。(私のクラスでは、以下の書式で書くことを「授業レポート」と呼んでいる)
授業レポートの書き方(作文用紙1枚の場合)
予告文・・・(これから何を書くか・・・2行程度)
事実文・・・(その時間に何を学んだか・・・12行程度)
考察文・・・(学んだことに対する気づきや感想・・・3行程度)
ポイントは次の3点である。
(1)予告文・事実文・考察文と3部構成にする。
(2)各文に、何を書くかを示す。
(3)各文の規模を教える。
詳しい指導過程は省くが、このような書式を与えることで、次の様な「授業レポート」が書けるようになる。
国語授業レポート(4月16日 5年男子)
今日の国語の授業では、教科書を使いました。教科書の『「読む」ということ』というところです。
さっそく4色ボールペンで線を引きます。
先生から2つ学びました。
1つめは、大事なところには囲みをつけたり◎印をつけたりすることです。
2つめは、本に書き込みを入れながら読むということです。
ぼくがやってみたいこと思ったことは、3こありました。
(1)大事なところに◎や囲みをいれることです。
(2)本に書き込みを入れることです。
(3)教科書に書いてあることをなるべくやることです。
ぼくは、あまり本を持っていないけれど、本に書き込みをしながら読んでみたいです。そしてこれから習うことも、日記や作文にいろいろと役立てていきたいです。
授業レポートの書き方を教えてまだ間もないときの作品である。
作文にキズはあるものの、授業感想文の書き方がかなり影響されていることが読みとれる。
一時間の授業で何を学んで、自分は何を考えたがよく分かるレポートになっている。
■実践・授業感想文を終えるにあたって
以前、同僚の先生に「授業感想文を追試しているが、どうもうまくいかない」と言われた。
「おかしいな」と思い、少し詳しく話を聞いてみることにした。
すると、はじめは授業中に書かせていたが、しばらくすると、全て家庭学習の中で書かせているとのことであった。授業後半5分をとるのができないと言う。また、そこに書いてあることがつまらないと言う。
「なるほどな」と思った。授業感想文を書くと、はじめのうちは私の場合でも他愛もない感想を子どもたちは書いてくる。しかし、それを続けていくうちに、子どもたちが授業中どんなことを考えているか授業感想文の中から読みとれてくる日がくる。少し工夫をした授業の時は、おもしろい授業だったと書くし、準備をせずにだらだら行うとつまらないと書く。子どもは正直である。
だから、教師が読んでおもしろいと思う感想を書かすにはやはり、いい授業をしないといけないし、子どもたちも書く張り合いが見つけにくい。
作文は子どもたちが自分の頭を使って書く。自分の世界の中で書く。だから、へたをすると「井の中の蛙」になりかねない。そこで必要となってくるのが、他の子どもたちがどんな書き方をしているかを子どもたちが学ぶことである。
それには、およそ2つある。
1)授業の時に1人でも2人でもいいから、その書いた作文を読み聞かせする。そして、評価をしてあげること。
2)学級通信を利用して、子どもの作文を紹介すること。これも単に紹介するのではなく、なぜこの子の作文がいいのか、教師がコメントを必ずつけること。
ただ書かすだけでももちろんいい。しかし、書き慣れを促すためには、書かせるほかにこのような工夫をすると、子どもたちの書き慣れはぐっと加速するはずである。
授業感想文は必ず時間をとって授業中に書かせる。書いた時に典型的な感想文を教師がコメントを入れ、読み聞かせする。毎日1時間、国語でも、算数でも、どの教科でも構わないからこの作業を続けることで、子どもたちの作文の力はぐんぐん伸びていくはずである。
この連載を参考にぜひ、みなさんの教室でも「授業感想文」の実践を行ってもらいたい。
2002年7月7日(実践!作文研究メールマガジン第126号掲載)

